薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 理論問題 - 問 194,195
問194
10歳男児。高熱、頭痛、咳嗽、喀痰、筋肉痛、関節痛のため、母親とともに来院した。問診により父親がインフルエンザに罹患していることが分かった。検査の結果、男児もインフルエンザウイルスに感染していた。この男児の診断、治療及び感染蔓延防止に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 迅速検査としてイムノクロマト法によるインフルエンザ抗原の検出がある。
2 診断が確定されたら、速やかにインフルエンザワクチンを投与する。
3 解熱させるために非ステロイド性抗炎症薬を直ちに使用する。
4 人と接するときは、マスク着用を推奨する。
5 解熱したら、すぐに学校に登校可能である。
問195
インフルエンザウイルス感染症及びその症状の緩和のために用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 アマンタジンは、B型インフルエンザウイルスのM2タンパク質を阻害し脱殻を抑制する。
2 オセルタミビルは、感染細胞内で形成されたウイルス粒子が細胞から遊離する際に働くノイラミニダーゼを阻害することで、ウイルスの増殖を抑制する。
3 チペピジンは、気管支平滑筋のアドレナリンβ2受容体を刺激することで咳を静める。
4 カルボシステインは、痰中のフコムチンを減少させシアロムチンを増加させることで痰の排出を促進する。
5 アセトアミノフェンは、ホスホリパーゼA2を阻害することでインフルエンザによる発熱を改善する。
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問194 解答 1、4
1 正
インフルエンザ抗原の迅速検査は、イムノクロマト法という原理を用いた方法が一般的である。イムノクロマト法は、採取した抗体を検体抽出液に浸し、その液をテストプレートに滴下しときの抗原抗体反応により発色したラインを用いて、A型もしくはB型インフルエンザ陽性、インフルエンザ陰性化を判断する方法である。
2 誤
インフルエンザウイルス感染症と診断されてからワクチンを接種しても、抗体はすぐに産生されないため効果はない。なお、インフルエンザワクチンは、抗体が産生され始めるまで1~2週間はかかるため、流行期の約1ヶ月前には接種しておくのが望ましい。
3 誤
インフルエンザウイルス感染患者に非ステロイド性抗炎症薬を解熱薬として使用すると、ライ症候群のリスクが上昇するため投与すべきでない。なお、小児インフルエンザの解熱薬としては、アセトアミノフェンが推奨される。
4 正
インフルエンザウイルスは飛沫感染により感染し、くしゃみや咳で感染させる恐れがあるため、人と接するときはマスク着用を推奨する。
5 誤
インフルエンザウイルス感染症と診断された場合、原則として発症後5日かつ解熱後2日を経過するまで登校禁止である。
問195 解答 2、4
1 誤
アマンタジンは、A型インフルエンザウイルスのM2タンパク質を阻害することによって、感染細胞内でのウイルスの脱殻を阻止し、A型インフルエンザウイルスの増殖を抑制する。
2 正
オセルタミビルは、その活性代謝物がノイラミニダーゼを阻害することで、感染細胞内で形成されたウイルス粒子の遊離を阻止し、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する。
3 誤
チペピジンは、非麻薬性鎮咳薬であり、延髄の咳中枢を抑制して鎮咳作用を示す。
4 正
カルボシステインは、喀痰中のフコムチンを減少させシアロムチンを増加させることで痰の粘性を低下し、去痰作用を示す。
5 誤
アセトアミノフェンは、視床下部の体温調節中枢に作用し、熱放散を増大させ解熱作用を示す。
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