薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 実践問題 - 問 234,235
60歳男性。ジェノタイプ2型のC型慢性肝炎と診断され、初回治療としてDAAs(Direct acting antivirals)が投与されることになった。なお、この患者の腎機能は正常である。
問234(衛生)
この患者から聴取した生活習慣や過去の経験のうち、C型慢性肝炎に罹患した原因として可能性が低いのはどれか。2つ選べ。
1 鹿肉の生食
2 入れ墨や不衛生なピアスの穴あけ処置
3 20歳代での手術時の輸血
4 海外旅行中の生水の摂取
問235(実務)
この患者に投与する抗ウイルス薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 ラミブジン
2 ソホスブビル
3 エンテカビル水和物
4 ペラミビル水和物
5 リバビリン
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問234 解答 1、4
C型肝炎ウイルス(HCV)は、血液などの体液を介して感染する。過去の感染例の多くは、輸血や注射による血液感染である。最近では、不衛生の医療器具(ピアスの穴をあける器具、入れ墨用の針など)の使用による感染が問題となっている。
1 可能性が低い
鹿肉、豚レバーを含む豚肉や猪肉の生食が主な原因となるのはE型肝炎である。
2 可能性が高い
前記参照。
3 可能性が高い
前記参照。
4 可能性が低い
糞便に汚染された食品や生水の摂取が主な原因となるのはA型肝炎である。
問235 解答 2、5
1 誤
ラミブジンは、HIVの治療に用いられる。ラミブジンは、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬であり、細胞内でリン酸化を受けヌクレオチド体となり、逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)を競合的に阻害する。
2 正
ソホスブビルは、C型肝炎の治療に用いられる。ソホスブビルは、体内で活性化されNS5B(非構造タンパク質5B)RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害することでC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖を抑制する。
3 誤
エンテカビルはB型肝炎の治療に用いられる。エンテカビルは、B型肝炎ウイルス(HBV)感染細胞内でリン酸化され、B型肝炎ウイルス(HBV)のDNAポリメラーゼを競合的に阻害することにより、HBVの増殖を抑制する。
4 誤
ペラミビルは、インフルエンザの治療に用いられる。インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを阻害し、ウイルス感染細胞からウイルスの遊離を抑制する。
5 正
リバビリンは、細胞内でリン酸されてリバビリン三リン酸となり、HCV由来のC型肝炎の治療に用いられる。リバビリンは、RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、HCVの複製を阻害する。
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