薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 実践問題 - 問 240,241
58歳男性。地元のがんセンターに入院し、検査の結果、去勢抵抗性の前立腺がんと診断された。骨転移も認められている。主治医は、患者に対し、放射性医薬品による骨転移巣の治療を検討していることを説明した。
問240(衛生)
治療の目的で用いられる放射性医薬品に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 標的組織に高い選択性を示す。
2 診断用放射性医薬品と同様、標的組織から速やかに消失することが望ましい。
3 α線を放出する核種は使用されない。
4 放出される放射線により腫瘍細胞のDNAが損傷される。
5 数年程度の半減期をもつ核種が使用される。
問241(実務)
去勢抵抗性の前立腺がんの治療に用いられる放射性医薬品として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 クエン酸ガリウム(67Ga)注射液
2 ヨウ化ナトリウム(131I)カプセル
3 イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液調製用
4 塩化インジウム(111In)注射液
5 塩化ラジウム(223Ra)注射液
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問240 解答 1、4
治療の目的で用いられる放射性医薬品は、α線やβ−線を放出する各種が利用されている。α線やβ−線は、細胞破壊作用が大きいため、治療に用いるには標的組織に集積させて、高い選択性を示す必要がある。
骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がんの治療に用いられる放射性医薬品は、塩化ラジウム(223Ra)注射液である。骨転移巣などの骨代謝が亢進している部位に集積し、α線を放出することにより、近接する腫瘍細胞に対してDNA二重鎖切断等を誘発し、部位特異的に腫瘍増殖抑制作用を示す。
1 正
前記参照
2 誤
治療用放射性医薬品は、速やかに消失することなく、標的組織に集積させて、高い選択性を示すことが望しい。一方、診断用放射性医薬品は、治療目的ではないため、体内から速やかに消失することが望ましい。
3 誤
前記参照
4 正
前記参照
5 誤
治療の目的で用いられる放射性医薬品は、一般に被ばく線量低減のため、数日程度の半減期を持つ核種が使用される。
問241 解答 5
1 誤
クエン酸ガリウム(67Ga)注射液は、悪性腫瘍の診断や炎症性病変の診断に用いられる放射性医薬品である。
2 誤
ヨウ化ナトリウム(131I)カプセルは、甲状腺機能亢進症の治療、甲状腺がん及び転移巣の治療、シンチグラムによる甲状腺がん転移巣の発見に用いられる。
3 誤
イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液調製用は、CD20陽性の再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫の治療に用いられる放射性医薬品である。
4 誤
塩化インジウム(111In)注射液は、骨髄シンチグラムによる造血骨髄の診断に用いられる放射性医薬品である。
5 正
塩化ラジウム(223Ra)注射液は、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌の治療に用いられる放射性医薬品である。
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