薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 実践問題 - 問 258,259
63歳男性。根治切除不能な悪性黒色腫と診断され、外来化学療法でニボルマブが投与されることになった。薬剤師が初回投与時に患者のもとを訪れ、抗がん薬の特徴や注意すべき副作用の説明を行うことになった。
問258(実務)
ニボルマブの市販後に報告されている以下の副作用のうち、その作用機序から考えて、間接的に生じると思われる副作用として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 間質性肺炎
2 低血糖
3 重症筋無力症
4 下痢
5 甲状腺機能障害
問259(薬理)
ニボルマブは別の薬物を併用すると作用増強が現れる。理論的に考えて、同一細胞における別の標的分子に働くことで、ニボルマブと相乗作用を示すと考えられる併用薬の作用点として適切なのはどれか。1つ選べ。
1 RANKL(NF-κB活性化受容体リガンド)
2 CD20
3 CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球抗原-4)
4 VEGFR2(血管内皮増殖因子受容体2型)
5 HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)
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問258 解答 2
ニボルマブは、ヒトPD−1モノクローナル抗体であり、T細胞表面に発現するPD−1に結合することで、がん細胞によるPD−1を介したT細胞抑制作用の低下を介して免疫賦活作用を示し、抗腫瘍効果を発揮する。
ただし、ニボルマブのT細胞活性化作用により、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な副作用が見られることがある。本設問の副作用のうち、間質性肺炎、重症筋無力症、下痢(消化器障害)、甲状腺機能障害は、本剤の免疫増強作用に伴う直接的な臓器障害と考えることができるが、低血糖は本剤の免疫増強作用による下垂体機能障害や副腎障害などの直接的な臓器障害に伴い、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)や糖質コルチコイドであるコルチゾールなどの分泌が低下したことにより間接的に生じた副作用であると考えられる。
問259 解答 3
ニボルマブの作用点はT細胞表面のPD−1である。また、本設問の選択肢のうち、T細胞表面における別の標的分子であるのはCTLA−4(細胞障害性Tリンパ球抗原−4)であり、CTLA−4を阻害する抗悪性腫瘍薬にはイピリムマブが挙げられる。イピリムマブは、CTLA−4に作用することでT細胞活性化作用を示し、ニボルマブとの併用で相乗効果を期待できることから、悪性黒色腫や腎細胞癌の治療において両薬剤は併用されることがある。
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解説動画1 ( 07:28 )
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