薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 実践問題 - 問 280,281
80歳女性。老人福祉施設に入所中に仙骨部に褥瘡を認めた。経過を観察していたが、改善しなかったため、褥瘡の治療目的で入院となった。入院当初、創部は滲出液が多く、黒色の壊死組織を伴っていた。
問280(薬剤)
患者の創部に塗布する外用剤の基剤として最も適しているのはどれか。1つ選べ。
1 白色ワセリン
2 単軟膏
3 流動パラフィン
4 サラシミツロウ
5 マクロゴール軟膏
問281(実務)
2週間後の褥瘡対策チームによる回診で、患者の創部に壊死組織はほとんど見られず、滲出液の減少、赤色期の肉芽形成の開始が確認された。褥瘡対策チームの薬剤師は、今後の治療で必要な外用剤の提案を求められた。推奨する薬剤として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 トレチノイン トコフェリル軟膏
2 フラジオマイシン硫酸塩・結晶トリプシンパウダー
3 ヨードホルムガーゼ
4 ブロメライン軟膏
5 アルプロスタジル アルファデクス軟膏
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問280 解答 5
設問文において「創部は滲出液が多く」とあるため最も適切な外用剤の基剤は、吸水作用をもつ水溶性基剤のマクロゴール軟膏である。なお、油脂性基剤である白色ワセリン、単軟膏、流動パラフィン、サラシミツロウは、油分による創傷面の保護に用いられる。
問281 解答 1、5
設問文において「2週間後の褥瘡対策チームによる回診で、患者の創部に壊死組織はほとんど見られず、滲出液の減少、赤色期の肉芽形成の開始が確認された」とあるため、今後は肉芽皮形成を促進させる成分を含有し、水分を補充する基剤を用いている外用剤を使用することが望まれる。
1 正
トレチノイン トコフェリル軟膏は、創傷部位で血管新生を促進し肉芽形成を促すために用いる。さらに、含有する水分が必要な水分を補充するため、提案する薬剤として適切である。
2 誤
フラジオマイシン硫酸塩・結晶トリプシンパウダーは、抗生物質であるフラジオマイシンとタンパク分解酵素であるトリプシンを配合しており、フラジオマイシン硫酸塩による細菌感染の防止及びトリプシンによる壊死組織の分解除去により、創面の治癒を促進する。したがって、肉芽形成作用はないため、提案する薬剤として不適切である。
3 誤
ヨードホルムガーゼは、ヨードホルムを塗布したガーゼであり、創傷・潰瘍から出る血液や分泌物に溶けて分解し、ヨウ素を遊離する結果、殺菌作用を示す。したがって、肉芽形成作用はないため、提案する薬剤として不適切である。
4 誤
ブロメライン軟膏はタンパク分解酵素であるブロメラインを含有し、創傷面の壊死組織の分解、除去、清浄化により創面の治癒を促進する。したがって、肉芽形成作用はないため、提案する薬剤として不適切である。
5 正
アルプロスタジル アルファデクス軟膏は、創傷部位で血管新生を促進し肉芽・上皮形成を促すため、提案する薬剤として適切である。
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