薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 実践問題 - 問 312,313
32歳女性。難治性の多発性骨髄腫のため、治療を目的に入院してサリドマイド製剤を服用する予定である。サリドマイドは、過去に薬害を引き起こした薬物である。
問312(実務)
病棟でのサリドマイド製剤の取り扱いについて誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)を遵守する。
2 製薬会社に登録した医師のみが処方する。
3 入院中、本剤は患者の自己管理とする。
4 本剤の服用開始4週間前から本剤服用中止4週間後までは、妊娠を避けさせる。
5 本剤の管理上の責任を担う薬剤師を、製薬会社に登録する。
問313(法規・制度・倫理)
医薬品の安全対策の充実には、幾つかの薬害が関わっている。サリドマイドが引き起こした薬害が契機となって整備された制度として適切なのはどれか。1つ選べ。
1 副作用報告制度
2 再審査制度
3 医薬品リスク管理計画制度
4 感染症定期報告制度
5 市販後調査制度
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問312 解答 3
サリドマイドはドイツで催眠鎮静薬として開発され、我が国でも催眠鎮静薬やつわり止めとして使用されていたが、胎児に重度の先天異常を引き起こすことが明らかとなり販売中止となった。
日本では、2008年に多発性骨髄腫に対する治療薬として再び承認された際、承認条件として、胎児への薬剤の影響を防ぐために「サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)」を製造販売業者が作成し、それに基づき本剤を厳格に管理し、適正使用を推進している。
1 正しい
本剤の製造販売・管理・使用等にあたっては、サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)を適正に遵守する。
2 正しい
本剤の処方は、TERMS委員会にて評価し、当該製造販売業者に登録されている処方医師による院内処方に限られる。
3 誤っている
患者が入院した場合、医師、薬剤師等の医療従事者又はその他適切に薬剤管理を行うことのできる者が、処方医師及び責任薬剤師等と協力して、カプセルシートとよばれる専用のシートを用いて調剤された本剤の数量管理を行う。
4 正しい
本患者は女性であり、妊娠の可能性があることから、本剤服用開始4週間前から本剤服用中止4週間後までは、避妊をしない性交渉の禁止を行い、妊娠を避けさせる。
5 正しい
医療機関にて本剤の管理上の責任を担う薬剤師を責任薬剤師といい、製薬企業に登録する。
問313 解答 1
サリドマイドが引き起こした薬害(胎芽症、アザラシ肢症)を契機として、医薬品の承認審査方針が明確化されるとともに、医薬品副作用報告制度が開始された。
1 正
前記参照
2 誤
再審査制度の新設及び再評価制度の明文化は、キノホルムによる亜急性脊髄視神経症(SMON)を契機として行われた。
3 誤
医薬品リスク管理計画の導入は、フィブリノゲン製剤及び非加熱第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎を契機として行われた。
4 誤
感染症定期報告制度などの生物由来製品の規制について薬事法(現:医薬品医療機器等法)の改正は、非加熱血液製剤による薬害エイズ及びヒト乾燥硬膜を介したクロイツフェルト・ヤコブ病を契機として行われた。
5 誤
市販直後調査の導入は、ソリブジンとフルオロウラシルの併用によるフルオロウラシルの副作用発生率の上昇を契機として行われた。
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