薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 実践問題 - 問 320,321
土曜日の夕方遅くに30歳代の男性旅行者が薬局を訪れ、今朝より胸やけがあり、みぞおち辺りが少し痛いため薬が欲しいと相談した。薬剤師が話を聞くと、以前にも似た症状があり、その時は受診し処方薬を服用して改善したということであった。その内容が携帯していたお薬手帳に記録されていた。明後日の月曜日には地元に戻るとのことであった。
問320(実務)
近隣の医療機関は受付時間を過ぎており、この男性も一般用医薬品での対応で良いとのことであったため、相談を受けた薬剤師は、1錠当たりファモチジン10 mgを含有する第一類医薬品を販売することにした。販売時の対応として適切でないのはどれか。2つ選べ。
1 3日間服用しても症状が軽減しない場合、服用を止めて医療機関を受診するよう勧めた。
2 お薬手帳に販売したことを記載した。
3 症状が軽減しても、2週間以上は飲み続けるよう説明した。
4 以前の処方薬と含量は違うが、有効成分は同じであることを説明した。
5 同じ有効成分の医療用医薬品を以前服用していたので、販売記録は作成しなかった。
問321(法規・制度・倫理)
今回販売する医薬品について説明している時に、「第一類医薬品」とはどういうものかという質問があった。その際の薬剤師の説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 一般用医薬品は、第一類医薬品と第二類医薬品の二つに分類されています。
2 一般用医薬品の中で、副作用等その使用に関し特に注意が必要なものです。
3 登録販売者又は薬剤師が販売しなければならないものです。
4 販売時に適正な使用のために必要な情報について書面を用いて説明することが必要なものです。
5 インターネットでは買うことができないものです。
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問320 解答 3、5
1 適切
本製剤の使用の目安は3日間であり、3日間服用しても症状の改善がみられない場合は、逆流性食道炎などが重篤化している可能性があるため、服用を止めて、医療機関を受診するよう勧めることは適切である。
2 適切
お薬手帳は、調剤した薬剤についての経時的な記録であるが、市販薬を購入した際にも記録を残すことで、患者の服薬状況を一元管理するためのものである。したがって、お薬手帳に一般用医薬品の販売について記載することは適切である。
3 不適切
本製剤は、重篤な消化器疾患を見過ごすおそれがあるため、2週間を超えて服用しないこととなっている。したがって、症状が軽減しても、2週間以上は飲み続けるよう説明することは不適切である。
4 適切
以前の処方薬はファモチジン錠20 mgであり、今回販売した第一類医薬品は1錠当たりファモチジン10 mgを含有しているため、本設問の対応は適切である。
5 不適切
本製剤は、第一類医薬品に該当するため、販売記録の作成が義務づけられている。薬局開設者等は第一類医薬品を販売等したとき、次に掲げる事項を書面に記載し、2年間保存しなければならない。
・品名 ・数量 ・販売の日時 ・販売提供を行った薬剤師の氏名 ・購入者の連絡先 ・購入者が情報提供等の内容を理解した旨の確認
問321 解答 2、4
1 誤
一般用医薬品は、第一類医薬品と第二類医薬品の2つに分類されているのではなく、健康被害のリスクに応じて第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品の三つに分類されている。
2 正
第一類医薬品とは、その副作用等により日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうち、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するものである。
3 誤
第一類医薬品は、「登録販売者又は薬剤師」ではなく、「薬剤師」が販売しなければならない。
4 正
5 誤
第一類医薬品を含め、一般用医薬品はすべてインターネットで買うことができる。なお、薬局においてインターネット販売(特定販売)が可能な医薬品は、一般用医薬品及び薬局製造販売医薬品であり、医療用医薬品及び要指導医薬品はインターネット販売(特定販売)を行ってはならない。
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