薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 実践問題 - 問 322,323
介護支援専門員(ケアマネージャー)から、自宅内に薬が散乱している利用者がいるので、薬剤の管理をしてもらえないかという相談があった。相談を受けた薬剤師は、ケアマネージャーから、この利用者は72歳、独居、要支援2であること、複数の医療機関を受診し、複数の薬局から薬剤が交付されていることを聴取した。
問322(法規・制度・倫理)
介護保険法における要支援認定に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 要支援認定を受けた者には、医療保険より介護保険の適用が優先する。
2 要支援状態は5段階に区分されている。
3 要支援認定には、有効期限の定めがない。
4 要支援認定を受けた者に対する保険の給付を、要支援給付という。
5 要支援認定の申請は、市町村に対して行う。
問323(実務)
当該患者(利用者)に関してこの薬剤師が行うことのうち、適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 薬剤の保管状況を確認する。
2 患者の服薬状況を確認する。
3 主治医に患者の現在の薬剤管理状況を伝える。
4 患者に特別養護老人ホームへの入所が可能であることを説明する。
5 主治医に薬剤師による介護予防居宅療養管理指導の実施を提案する。
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問322 解答 1、5
介護保険の給付(介護給付、予防給付、市町村特別給付)を受けるためには、保険者である市町村・特別区による要介護又は要支援の認定を受けなければならない。
1 正
患者が要介護認定又は要支援認定を受けている場合には、医療保険より介護保険の適用が優先する。
2 誤
要支援状態は2段階に区分されている。なお、5段階に区分されているのは要介護状態である。
3 誤
要介護認定及び要支援認定には有効期間が定められており、介護保険における保険給付を受けるためには、定められた期間ごとに更新する必要がある。
4 誤
要支援給付は存在しない。要支援認定を受けた者に対する保険の給付は予防給付である。なお、介護保険の給付には、①要介護者に対する介護給付、②要支援者に対する予防給付、③要介護状態又は要支援状態の軽減又は悪化の防止に資する給付として条例で定められた市町村特別給付がある。
5 正
介護保険の認定の申請は保険者である市町村・特別区に対して行う。
問323 解答 4
1 適切
介護支援専門員の話から、薬剤の管理ができていない可能性が高いため、適切である。
2 適切
介護支援専門員の話から、服薬状況が悪い可能性もあるため、適切である。
3 適切
患者の薬剤の保管状況や服薬状況等を確認し、服薬が困難な状況等であれば、処方医への剤形変更の提案や服薬カレンダーを作成するなどして、コンプライアンスの向上に努める。したがって、主治医に患者の現在の薬剤管理状況を伝えることは適切である。
4 不適切
特別養護老人ホームへの入所は、介護保険法に基づく施設サービスの1つである。施設サービスは、原則要介護3以上の者を対象とし、要支援者が受けることはできない。
本患者は要支援者(要支援2)であるため、特別養護老人ホームなどの施設サービスは対象外である。したがって、本問の薬剤師の説明は適切ではない。
5 適切
介護予防居宅療養管理指導とは、要支援者の居宅等で、その介護予防を目的として、病院・診療所・薬局の医師、薬剤師等により行われる療養上の管理及び指導であって、厚生労働省令で定めるものをいう。本患者は、薬剤の管理ができていない可能性や服薬状況が悪い可能性があるため、主治医に薬剤師による介護予防居宅療養管理指導の実施を提案することは適切である。
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