薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 実践問題 - 問 330
68歳男性。以前より便通の異常を自覚していた。病院を受診し、精査の結果、大腸がんが判明しStageⅣと診断された。病理検査の結果、RAS変異は陰性であった。また、UGT1A1*6のホモ接合体であった。一次治療として、ベバシズマブ+CapeOX(カペシタビン+オキサリプラチン)療法が開始となった。薬剤師が行う薬学的関与として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 ベバシズマブ投与に伴い、予防的な高血糖対策を実施するように医師に提案する。
2 カペシタビン投与に伴い、手足症候群予防のために厚めの靴下を履くように患者に説明する。
3 オキサリプラチン投与に伴い、冷たいものに触るとしびれを誘発することを患者に説明する。
4 RAS変異が陰性のため、ベバシズマブの開始用量の増量を提案する。
5 UGT1A1の遺伝子解析結果から、カペシタビンの開始用量の減量を提案する。
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解答 2、3
1 誤
ベバシズマブは血管内皮増殖因子に対するモノクローナル抗体であり、代表的な副作用に、高血圧性脳症、高血圧クリーゼなどがある。したがって、本剤の投与期間中は血圧を定期的に測定するなどの予防的な高血圧対策を実施するよう医師に提案すべきである。なお、ベバシズマブの副作用には高血糖もあるが頻度は少ないため、予防的な高血糖対策の実施を医師に提案する必要はない。
2 正
カペシタビンの代表的な副作用に、手足症候群がある。手足症候群は、抗がん剤の治療中に手や足の皮膚にみられる手足の紅斑、過角化、痛み、水ぶくれ、色素沈着などの一連の症状である。皮膚への刺激を避けるべきために、厚めの靴下を履く、締め付けのきつい靴下は履かない、熱い風呂やシャワーを避ける、保湿クリームを塗るなどの予防法を患者に説明するべきである。
3 正
オキサリプラチンの代表的な副作用に、末梢神経障害があり、手や足のしびれ感、痛みなどの異常感覚で始まることが多い。これらの症状は、冷たいものへの暴露により悪化するため、冷たいものへの接触や、氷の使用や冷たい飲み物を避けるよう患者に説明すべきである。
4 誤
ベバシズマブの投与の際は、RAS遺伝子の変異を考慮する必要はなく、開始用量の増量を提案する必要もない。なお、RAS遺伝子が陰性であることを確認して投与する薬剤にパニツムマブがある。
5 誤
カペシタビンの投与の際は、UGT1A1の遺伝子多型を考慮する必要はなく、開始用量の減量を提案する必要もない。なお、UGT1A1の遺伝子多型を考慮して投与する薬剤にイリノテカンがある。
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