薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 理論問題 - 問 115
ヒトの遺伝子多型に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 イントロン部分の塩基配列の違いは、遺伝子多型とはみなされない。
2 遺伝子多型がタンパク質の発現量に影響を与えることはない。
3 酵素をコードする遺伝子の多型は、その酵素活性に影響を与えることがある。
4 数塩基の短いDNA塩基配列の反復回数が、個体間で異なることをSNP(スニップ)という。
5 遺伝子の翻訳領域における遺伝子多型が存在しても、対応するタンパク質のアミノ酸配列に変化を生じないことがある。
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解答 3、5
1 誤
遺伝子多型とは、遺伝子を構成しているDNAの塩基配列の個体差であり、同一生物種において1%以上の頻度であるものと定義され、イントロン部分の塩基配列の違いも遺伝子多型に含まれる。
2 誤
遺伝子の転写調節に関わるプロモーター・エンハンサー領域に存在する遺伝子多型は、転写因子などの結合に関与する塩基に変化を与えることがあり、遺伝子の転写量にも影響を与え、その結果酵素などのタンパク質の発現量や活性にも影響を与えることがある。
3 正
解説2参照
4 誤
遺伝子多型には、1対の塩基置換に起因する一塩基多型(SNP)やゲノム中の繰り返し配列に置ける反復回数の相違が多型として観察されるものがある。数塩基の短いDNA塩基配列の反復をマイクロサテライトといい、その反復回数が個体間で異なることをマイクロサテライト多型という。
したがって、数塩基の短いDNA塩基配列の反復回数が、個体間で異なることはSNP(スニップ)ではなく、マイクロサテライト多型という。
5 正
遺伝子の翻訳領域における遺伝子多型が存在しても、対応するタンパク質のアミノ酸配列に変化を生じないことがあり、このようなアミノ酸配列に変化を生じない変異をサイレント変異という。
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