薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 理論問題 - 問 118
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 MHCが同一個体内で遺伝子再編成することにより、多様な免疫応答が可能となる。
2 MHC分子は、移植片拒絶反応を引き起こす抗原として発見されたものである。
3 MHC分子は、父親と母親に由来するMHCの両方から発現する。
4 MHCクラスⅡ分子は、主に活性化マクロファージ、樹状細胞、B細胞において発現している。
5 T細胞抗原受容体(TCR)は、自己のMHC分子と抗原ペプチド断片の複合体を認識する。
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解答 1
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)は、自己と非自己の識別に関わる膜結合型糖タンパク質をコードする遺伝子群の総称であり、ヒトでは第6染色体上の限られた領域に存在する。これら遺伝子群によりコードされた一群の糖タンパク質はMHC分子(MHC抗原)とよばれ、特にヒトのMHC分子はHLA(ヒト白血球抗原)とよばれる。
1 誤っている
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)は、自己と非自己の識別に関与するが、遺伝子再構成は起こらない。遺伝子再構成は、T細胞抗原受容体遺伝子、免疫グロブリン遺伝子などで起こる現象であり、これにより発現するタンパク質を多様化させる。
2 正しい
MHCによりコードされた糖タンパク質であるMHC分子は、移植実験の際に移植片拒絶反応を決定する最も重要な抗原として同定された。
3 正しい
MHCは父親と母親由来の遺伝子の両方が発現し、その遺伝子産物であるMHC分子には多様性が生じる。
4 正しい
MHCクラスⅡ分子は、主に活性化マクロファージ、樹状細胞、B細胞において発現しており、ヘルパーT細胞への抗原提示に用いられる。また、MHCクラスⅠ分子は、ほとんどすべての有核細胞で発現されている。
5 正しい
T細胞抗原受容体(TCR)は、T細胞表面に存在し、自己のMHC分子と抗原ペプチド断片の複合体に結合することで抗原認識を行う。
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