薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 理論問題 - 問 125
我が国における遺伝子組換え食品の取扱いに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 遺伝子組換え大豆を原材料として製造した醤油や大豆油は、挿入遺伝子及びその遺伝子産物が検出されなければ、遺伝子組換え食品としての表示義務はない。
2 安全性の評価には、挿入遺伝子の遺伝子産物によるアレルギー誘発性に関する知見が必要である。
3 遺伝子組換え農作物の商業的栽培は許可されていない。
4 輸出国で安全性に関する審査を受けた遺伝子組換え食品は、日本国内で審査を受けることなく流通・販売が可能である。
5 IPハンドリング(分別生産流通管理)された非遺伝子組換え農産物を原料とする食品には、「遺伝子組換えではない」の表示義務がある。
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解答 1、2
遺伝子組換え食品は、食品衛生法に基づき、内閣府の食品安全委員会において安全性審査を実施する必要がある。安全性の審査は、遺伝子組換えに用いた挿入DNAの安全性、組換えDNAから作られるタンパク質の安全性、それらによって間接的に引き起こされる二次的な影響などが検討される。特に従来種の遺伝性質に与える長期的な影響や遺伝子産物によるアレルギー誘発性の有無、遺伝子やタンパク質発現が外来的に変化することによる別の有害物質の産生、成分比率が大きく変動する可能性などが審査される。
また、承認された遺伝子組換え作物は、遺伝子組換え作物であるかどうかを明確にすることが事業者に求められる。そのため、IPハンドリング(分別生産流通管理)による流通管理がされている。また、食品表示法により、遺伝子組換え食品の表示が義務付けられている(下表参照)。
1 正
原則として、遺伝子組換え食品の表示は、IPハンドリングされた遺伝子組換えした食品には、遺伝子組換え食品の表示が義務付けられている(上表参照)。しかし、醤油、大豆油のような食品中において組換えDNA及びこれにより生成したタンパク質が除去、分解されているものに対しては、表示の義務は免除される。
2 正
我が国で実施される遺伝子組換え安全性審査には、アレルギー誘発性に関する項目も含まれる(前記参照)。
3 誤
我が国では、遺伝子組換え農作物の商業的栽培は許可されている。現在、我が国で商業的に栽培されている遺伝子組換え農作物として観賞用のバラがある。
4 誤
安全性の審査制度は国によって異なるため、輸出国で安全性に関する審査を受けた遺伝子組換え食品であっても、我が国で安全性に関する審査を受けなければならない。
5 誤
IPハンドリング(分別生産流通管理)された非遺伝子組換え農産物を原料とする食品には、「遺伝子組換えではない」の表示義務はない。なお、表示は任意であるため、「遺伝子組換えではない」の表示をすることも可能である。
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