薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 理論問題 - 問 167,168
47歳男性。身長172 cm、体重85 kg。38歳時より高血圧を指摘され、下記処方にて治療を受けていた。日常、ビールを飲むことが多い。
子供の運動会で短距離走に出場した。運動会終了後、懇親会にて飲酒した次の日、右足母趾の腫脹と痛みを認めた。その後、痛みは徐々に増悪し、患部の赤く腫大した状態が2日間持続していると訴え受診した。
問167(病態)
患者が訴えている症状を速やか改善させるために処方される薬物として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 フェブキソスタット
2 ベンズブロマロン
3 メトホルミン塩酸塩
4 ナプロキセン
5 アトルバスタチンカルシウム水和物
問168(薬理)
精査の結果、この患者では左腎結石を認め、以下の検査の結果が得られた。
検査値:血圧136/86 mmHg、空腹時血糖値110mg/dL、HbA1c6.1%(NGSP値)、LDL−C140 mg/dL、TG(トリグリセリド)210mg/dL、血清クレアチニン値1.1mg/dL、eGFR68mL/min/1.73m2、BUN21mg/dL、尿酸値10.5mg/dL
患者が訴えている症状が寛解した後、その症状の再発を予防する目的で投与される薬物に関する記述のうち、最も適切などれか。1つ選べ。
1 キサンチンオキシダーゼを阻害し、尿酸生成を抑制する。
2 腎尿細管において、尿酸の再吸収を抑制する。
3 尿酸をアラントインと過酸化水素に分解する。
4 シクロオキシゲナーゼを阻害する。
5 チュブリンと結合して微小管重合を阻害し、好中球の遊走を抑制する。
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問167 解答 4
右足母趾の腫脹、発赤、疼痛などの主訴から、本患者は痛風発作極期の状態であると考えられる。痛風発作極期には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を短期間に大量投与するパルス療法を行う。なお、痛風発作極期に血中尿酸値を変動させると、症状が悪化するおそれがあるため、尿酸降下薬は発作が寛解した後に追加する。
1 誤
フェブキソスタットは、尿酸降下薬(尿酸産生抑制薬)であり、発作時に追加使用してはならない。
2 誤
ベンズブロマロンは、尿酸降下薬(尿酸排泄促進薬)であり、発作時に追加使用してはならない。
3 誤
メトホルミン塩酸塩は経口血糖降下薬であり、本患者の訴えている症状を速やか改善させる薬物として不適切である。
4 正
冒頭解説文参照。ナプロキセンはNSAIDsであり、本患者の訴えている症状を速やか改善させる薬物として適切である。
5 誤
アトルバスタチンカルシウム水和物は脂質異常症治療薬であり、本患者の訴えている症状を速やか改善させる薬物として不適切である。
問168 解答 1
痛風発作寛解後は、その症状の再発を予防する目的で尿酸値のコントロールを行うために、尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬などの尿酸降下薬が用いられる。左腎結石を認める本患者には、尿酸排泄促進薬の投与は禁忌であるため、尿酸生成抑制薬が用いられる。
1 正
尿酸生成抑制薬であるアロプリノールやフェブキソスタットなどの作用機序である。本患者の症状の再発を予防する目的で投与される薬物として適切である。
2 誤
尿酸排泄促進薬であるプロベネシドやベンズブロマロンなどの作用機序である。
3 誤
尿酸分解促進薬であるラスブリカーゼの作用機序である。ラスブリカーゼは、がん化学療法に伴う高尿酸血症に用いられる。
4 誤
非ステロイド性抗炎症薬であるNSAIDsの作用機序である。NSAIDsは、痛風発作に用いられる。
5 誤
痛風発作予防薬であるコルヒチンの作用機序である。
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