薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 理論問題 - 問 193
仮説検定を有意水準5%で行ったところ、帰無仮説は棄却できなかった。この検定に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 第1種の過誤を犯す可能性の程度は5%である。
2 第2種の過誤が生じている可能性がある。
3 帰無仮説は肯定されたと解釈される。
4 有意水準を1%とすれば、帰無仮説は棄却されやすくなる。
5 有意水準を変えなければ、標本数を増やしても、帰無仮説が棄却される見込みは変わらない。
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解答 1、2
仮説検定では、2つの事象に差がないという仮説(帰無仮説)を棄却することによって、証明したい2つの事象に差があるという仮説(対立仮説)を証明する。この際に起こりうる過誤には、第1種の過誤と第2種の過誤がある。第1種の過誤は、本当は差がない(帰無仮説が正しい)のに誤って差がある(対立仮説が正しい)としてしまい、誤って帰無仮説を棄却してしまう過誤のことをいう。それに対して、第2種の過誤は、本当は差がある(対立仮説が正しい)のに誤って差がない(帰無仮説が正しい)としてしまい、帰無仮説を棄却し損なう過誤のことをいう。そして、第1種の過誤を起こす確率を有意水準(危険率)という。
1 正
有意水準とは危険率ともよばれ、第1種の過誤が生じる確率のことである。今回の仮説検定は有意水準5%で行っているため、第1種の過誤を犯す可能性の程度は5%である。
2 正
冒頭解説文参照。問題文で「帰無仮説は棄却できなかった」とあるため、第2種の過誤が生じている可能性がある。
3 誤
帰無仮説を棄却できなかったというのは「差がないことを否定しきれなかった」ということである。一方、帰無仮説が肯定されたというのは「差がないと言い切れる」ということであり、この2つは同じ解釈とはならない。
4 誤
有意水準を1%とすれば、第1種の過誤を犯す可能性の程度は1%に下がる。すなわち、誤って帰無仮説を棄却する確率が下がるため、帰無仮説は棄却されにくくなる。
5 誤
標本数を増やすと、データの数が多い、統計学的に信頼のできる結果になりやすく、帰無仮説を棄却できる可能性が高くなる。そのため有意水準を変えなくても、標本数を増やせば、帰無仮説が棄却される見込みは高くなる。
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