薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 実践問題 - 問 250,251
75歳男性。大腸がんステージⅣに対して、mFOLFOX6療法により治療中である。原発巣の痛みに対し、処方1の薬剤が投与されていたが痛みのコントロールが不十分であった。そのため、処方2を追加(1週間ごとに増量)したところ、NRS(Numerical Rating Scale)は6/10から徐々に低下し持続痛はほとんどなくなり、開始16日目にはNRSは2/10となった。しかし、開始18日目に下痢、発汗、発熱、見当識障害が発現し、開始25日目に不眠、焦燥感、体重減少を訴え、処方薬による副作用が疑われ、血液検査を行なった。
検査値:血清クレアチニン0.9 mg/dL、BUN31 mg/dL、AST 38U/L、ALT 45U/L、総ビリルビン1.2 mg/dL
問250(薬理)
副作用発現の作用機序として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 セロトニン再取り込み阻害作用
2 アドレナリンα2受容体刺激作用
3 電位依存性Ca2+チャネル阻害作用
4 オピオイドµ受容体刺激作用
5 シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用
問251(実務)
副作用の改善を目的とした医師への処方提案として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 アセトアミノフェンを中止し、オキコドンに切り替える。
2 アミトリプチリンを中止し、トラマドールを増量する。
3 アミトリプチリンを中止し、デュロキセチンに切り替える。
4 トラマドールを中止し、オキシコドンに切り替える。
5 トラマドールを中止し、メサドンに切り替える。
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問250 解答 1
本患者は、セロトニン再取り込み阻害作用をもつアミトリプチリンとトラマドールを併用し、下痢、発汗、発熱、見当識障害、不眠、焦燥感、体重減少などの症状が発現していることから、副作用としてセロトニン症候群を引き起こしたと考えられる。なお、セロトニン症候群が疑われた場合には、その原因となった薬物の投与を中止する必要があり、本症例では、追加となったトラマドールの投与を中止すべきである。
問251 解答 4
本症例の副作用改善のためには、トラマドールの投与を中止すべきである。(解説問250参照)
ただし、トラマドールの投与を中止することで、再び疼痛コントロールが不十分となる恐れがあるため、トラマドールと同等もしくはそれ以上の鎮痛効果を持つオキシコドンに切り替えるのが適切である。なお、メサドンは、「他の強オピオイド鎮痛薬では十分な鎮痛効果が得られない場合にのみ使用すること」とされており、本処方では強オピオイド鎮痛薬の使用が認められない本患者の代替薬としては適切ではない。
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解説動画1 ( 06:59 )
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