薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 実践問題 - 問 252,253
23歳女性。母親に連れられて病院を受診した。母親の話では、幻覚や妄想と思われるような意味の分からないことを話すようになったとのこと。今年、大学を卒業して企業で働き始めたが、最近は欠勤気味であった。
患者は統合失調症と診断され、ハロペリドールによる治療を開始した。しかし、手の震えなどの錐体外路症状の訴えが患者からあったため、医師より代替薬について相談があった。
問252(実務)
この患者に対し、薬剤師が推奨できる薬物として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 ブロムペリドール
2 スピペロン
3 アリピプラゾール
4 リスペリドン
5 クロザピン
問253(薬理)
医師に提案したそれぞれの薬物のもつ作用の特徴として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 セロトニン5−HT2A受容体遮断作用
2 ヒスタミンH1受容体遮断作用
3 ドパミンD2受容体部分刺激作用
4 アセチルコリンM1受容体遮断作用
5 アドレナリンα1受容体刺激作用
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問252 解答 3、4
本患者は統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)により、定型抗精神病薬であるハロペリドールを服用しているが、副作用である錐体外路症状を引き起こしている。そのため、錐体外路障害を引き起こしにくい非定型抗精神病薬を代替薬として提案する必要があり、本選択肢中ではアリピプラゾール、リスペリドン、クロザピンが該当する。ただし、クロザピンは「2種類以上の十分量の抗精神病薬を十分な期間(4週間以上)投与しても反応が見られなかった場合(反応性不良の場合)、または非定型抗精神病薬のうち、2種類以上による単剤治療を試みたが十分な治療効果が得られなかった場合(耐容性不良の場合)に使用すること」とされており、本患者の代替薬としては適切ではない。よって、本患者に推奨される薬物は、アリピプラゾールもしくはリスペリドンである。
問253 解答 1、3
アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体部分刺激薬であり、ドパミン不足時には受容体刺激作用を、ドパミン過剰時には受容体遮断作用を示すことで、脳内ドパミン作動性神経を安定化させる。また、本剤はセロトニン5−HT2A受容体遮断作用および5−HT1A受容体部分刺激作用も併せもつ。
リスペリドンは、セロトニン-ドパミン-アンタゴニスト(SDA)であり、ドパミンD2受容体遮断作用および5−HT2A受容体遮断作用を併せもつ。
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解説動画1 ( 08:51 )
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