薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 実践問題 - 問 266,267
68歳男性。狭心症。かかりつけ医を受診し、定期的に処方1の薬剤を服用している。来局時の聞き取りにより、この患者は最近、他の医療機関で非小細胞肺がんと診断され、エルロチニブ塩酸塩錠による化学療法の実施が予定されているとのことであった。
問266(実務)
薬剤師は、かかりつけ医に化学療法に関する聞き取りの内容を伝え、処方変更について提案した。その内容として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 アスピリン腸溶錠を中止する。
2 エソメプラゾールマグネシウム水和物カプセルを中止する。
3 エソメプラゾールマグネシウム水和物カプセルをラニチジン錠に変更する。
4 ビソプロロールフマル酸塩錠を中止する。
5 ビソプロロールフマル酸塩錠をベラパミル塩酸塩錠に変更する。
問267(薬剤)
処方変更をしない場合に問題となる、エルロチニブの体内動態の変化として適切なのはどれか。1つ選べ。
1 吸収の低下
2 肝代謝の阻害
3 肝代謝の亢進
4 尿中排泄の阻害
5 胆汁排泄の阻害
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問266 解答 2
難溶性塩基性薬物であるエルロチニブは、胃内pHが上昇すると、溶解度の低下により、消化管吸収が低下する。したがって、エルロチニブ塩酸塩錠による化学療法の実施が予定されている本患者において、胃酸分泌を抑制して胃内pHを上昇させる薬物であるプロトンポンプ阻害薬(エソメプラゾールなど)は中止することが望ましく、同様に胃酸分泌を抑制するH2受容体遮断薬(ラニチジンなど)への変更は不適切である。
なお、エルロチニブは、アスピリン及びビソプロロールとの相互作用は報告されていない。
問267 解答 1
処方変更をしない場合、エソメプラゾールにより胃酸分泌が抑制され、胃内pHが上昇するため、エルロチニブの溶解度が低下し、消化管吸収が低下する。
なお、同様の相互作用に注意が必要な難溶性塩基性薬物に、ゲフィチニブ、イトラコナゾール、アタザナビルなどがある。
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