薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 実践問題 - 問 302,303
58歳女性。左乳がんと診断され、摘出術を受けた後、AC(ドキソルビシン塩酸塩+シクロホスファミド水和物)療法4コースが施行された。1年後に再発、転移が確認されたため、週1回のパクリタキセルを用いた治療の導入のため入院し、2コース目からは外来にて治療継続となった。再発時から切られるような鋭い強い痛みが出現しており、患者の希望により以下の鎮痛薬が処方されている。肝、腎機能は正常である。
5コース目の来院時に、指先がしびれて感覚がなくなり、電撃痛があると患者から訴えがあり、鎮痛薬の追加について薬剤師が相談を受けた。
問302(病態・薬物治療)
この患者に生じた電撃痛に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 痛みの伝導路が損傷されている。
2 内臓痛に分類される。
3 上肢の筋肉の炎症に起因する。
4 身体を動かすと痛みが増す。
5 軽微な接触刺激でも痛みが誘発される。
問303(実務)
薬剤師が主治医に提案すべき薬物として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 アセトアミノフェン
2 コデインリン酸塩水和物
3 トラマドール塩酸塩
4 アスピリン
5 プレガバリン
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問302 解答 1、5
がん患者にみられる痛みは、がん組織により生じる痛み、がん治療による痛みに分類される。
がん組織により生じる痛みとは、がん組織自体が原因となって生じる痛みであり、神経学的に内臓痛、体性痛といった侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛に分類される。
がん治療による痛みとは、がんに対する治療が原因となって生じる痛みであり、外科手術に伴う術後痛症候群や、化学療法に伴う化学療法後神経障害性疼痛などがある。
本患者に認められる電撃痛は、がん組織自体による神経障害性疼痛、もしくはがん治療(パクリタキセル)による化学療法後神経障害性疼痛が原因の、神経障害性疼痛であると考えられる。
1 正
神経障害性疼痛は、痛覚を伝える神経の直接的な損傷や、これらの神経の疾患に起因する痛みと定義される。
2 誤
前記参照。電撃痛は神経障害性疼痛である。
3 誤
上肢の筋肉の炎症に起因する痛みは、体性痛に分類される。
4 誤
体動に伴い痛みが増悪するのは、体性痛の特徴である。
5 正
神経障害性疼痛の特徴として、痛み刺激を通常より強く感じる痛覚過敏や、通常では痛みを起こさない刺激によって引き起こされる痛みであるアロディニアがある。
問303 解答 5
神経障害性疼痛には、非オピオイド性鎮痛薬やオピオイド性鎮痛薬の効果が乏しいことがあるため、プレガバリンなどの神経性疼痛に効果の高い鎮痛補助薬を提案すべきである。
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