薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 実践問題 - 問 306,307
焼き鳥屋に勤務している従業員が油で汚れた換気扇の掃除を行うため、20 w/v%水酸化ナトリウム溶液を買い求めに来局した。この焼き鳥屋は、毒物劇物営業者ではなく、今回初めてのこの薬局を利用した。なお、この20 w/v%水酸化ナトリウム溶液は劇物である。
問306(法規・倫理・責任)
この薬局の薬剤師が、20 w/v%水酸化ナトリウム溶液を販売する際の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 来局者が18歳以上であることを確認した。
2 身分証明書の掲示がなければ販売できないと伝えた。
3 廃棄するときには、購入した薬局への届出が必要と伝えた。
4 来局者から購入の際に提出を受ける書面に押印を求めた。
5 購入の際に提出を受けた書面を2年間保存することとした。
問307(実務)
販売することになったので、20 w/v%水酸化ナトリウム溶液の使用に関する薬剤師のアドバイスとして、適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 腐食性があるので、素手で触らないでください。
2 失明のおそれがあるので、保護メガネなどを使ってください。
3 危害防止のため、希薄な水溶液とし、中和した後、多量の水で希釈して廃棄してください。
4 誤飲防止のため、飲食をしながら使用しないでください。
5 引火性があるので、火のそばで使わないでください。
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問306 解答 1、4
薬局において劇物を販売していることから、本問の薬局は毒物劇物営業者(毒物又は劇物の販売業)の登録を受けていると解釈できる。
1 正
毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を交付する場合には、交付の相手方が18歳未満の者でないことを確認しなければならない。
2 誤
毒物劇物営業者は、引火性、発火性、爆発性のあるものとして指定された毒物又は劇物を正当な理由のある者に交付する場合には、身分証明書等により、交付を受ける者の氏名及び住所を確認しなければならない。
しかし、20 w/v%水酸化ナトリウム溶液は引火性、発火性、爆発性のあるものとして指定された毒物又は劇物には該当しないため、身分証明書等の提出は不要である。
3 誤
毒物又は劇物を廃棄する場合には、政令で定める技術上の基準に従って廃棄しなければならないが、廃棄の届出は不要である。
4 正
毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を毒物劇物営業者以外の者に販売するときは、譲受人から法で定める事項を記載し、印を押した書面の提出を受ける必要がある。
5 誤
毒物又は劇物を毒物劇物営業者以外の者に販売したときに、譲受人から提出を受けた書面は5年間保存する必要がある。
問307 解答 5
水酸化ナトリウム溶液に引火性はない。引火性、発火性、爆発性のあるものとして指定された毒物又は劇物には金属ナトリウムやピクリン酸などがある。
水酸化ナトリウム溶液は、強いアルカリ性であり、タンパク質のペプチド結合を加水分解することで皮膚を腐食することや、眼に入ることで失明のおそれがあるので、取扱いに注意が必要であり、万が一身体に付着した場合はこすらずに大量の水で洗い続け、医師の治療を受けるようアドバイスする。また、廃棄の際には、希薄な水溶液とし、中和した後、多量の水で希釈して廃棄する必要がある。
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