薬剤師国家試験 令和02年度 第105回 - 一般 実践問題 - 問 320,321
36歳女性。以前から関節リウマチに対して以下の薬剤による治療を受けていた。ある日、体調不良により緊急入院となり、この薬剤による間質性肺炎と診断された。この薬剤の服用開始時に、薬剤師が重大な副作用の初期症状を説明していた。そのため、副作用である間質性肺炎が早期に発見され入院治療することができた。
問320(実務)
この患者に対して、薬剤師が説明した間質性肺炎の初期症状として適切なのはどれか。1つ選べ。
1 空咳(痰を伴わない)を伴い、息切れ、呼吸困難、発熱などが現れる。
2 高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水ぶくれなどの激しい症状が、全身の皮膚や、口や目の粘膜に現れる。
3 服用後すぐに発疹、浮腫、胸苦しさなどともに、顔面蒼白となり、手足が冷たくなり、冷や汗、息苦しさなどが現れる。
4 全身のだるさ、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などが現れる。
5 尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛などが現れる。
問321(法規・制度・倫理)
この患者の家族から、医薬品副作用被害救済制度について質問を受けた。この制度の説明のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 医療用医薬品は、どれでも救済給付の対象になります。
2 救済給付の可否は、製造販売業者が決定します。
3 救済給付を受けるためには、患者本人等による給付申請が必要です。
4 症状や程度にかかわらず、給付額は一定です。
5 入院治療を受けていても、救済給付が受けられない場合があります。
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問320 解答 1
間質性肺炎は、初期症状として、感冒様症状(全身倦怠感、発熱、息切れ、呼吸困難など)が現れる。多くの薬物が薬剤性間質性肺炎を発症させる可能性があるが、特に抗悪性腫瘍薬、関節リウマチ治療薬(メトトレキサートなど)、漢方薬、抗不整脈薬、抗菌薬、インターフェロン製剤などで発症しやすい。
1 正
前記参照
2 誤
スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS:Stevens-Johnson syndrome)の初期症状である。
3 誤
アナフィラキシーの初期症状である。
4 誤
肝障害の初期症状である。
5 誤
腎障害の初期症状である。
問321 解答 3、5
1 誤
許可医薬品等の副作用による健康被害が、副作用救済給付の対象となる。しかし、医療用医薬品であっても厚生労働大臣の指定する抗がん剤や免疫抑制剤等は、許可医薬品から除かれているため、医療用医薬品がすべて副作用救済給付の対象となるわけではない。
2 誤
副作用救済給付の可否は、副作用救済給付を受けようとする者の請求に基づき、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が決定する。
3 正
副作用救済給付を受けるためには、健康被害者本人又はその家族(遺族)が、PMDAに対して給付の申請を行うことができる。
4 誤
副作用救済給付の給付額は、症状や程度により異なる。
副作用救済給付の給付は、疾病に対して医療費及び医療手当、障害に対して障害年金又は障害児養育年金、死亡に対して遺族一時金、遺族年金又は葬祭料が定められている。これらの額は症状や程度により細分化されており、医療費であれば副作用による被害の治療に要した自己負担金相当額が支給されるため、健康被害者それぞれで異なる額となる。
5 正
入院治療を受けていた場合であっても、次のいずれかに該当する場合等は救済給付が行われないことがある。
・副作用による健康被害の原因となった許可医薬品等について賠償の責任を有する者が明らかな場合
・許可医薬品等の副作用による健康被害が予防接種法の規定による予防接種を受けたことによるものである場合 等
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