薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 実践問題 - 問 280,281
72歳男性。5年前から緑内障にて以下の処方1〜処方3で治療を受けていた。
眼圧が高いため、今回処方3が中止となり、処方4に変更となった。
問280(実務)
変更後の点眼方法の説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 点眼順序はどれから開始してもよいです。
2 朝の右眼への点眼は、処方2を先に行ってください。
3 夕の右眼への点眼は、処方2→処方4→処方1の順に行ってください。
4 処方4の点眼液は、よく振ってから使用してください。
5 処方4は1回に2滴以上点眼する必要があります。
問281(薬剤)
変更後の処方の各点眼液の特徴に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ビマトプロスト点眼液は、油性点眼液であるため、水性点眼液よりも先に点眼すると、水性点眼液の効果を高めることができる。
2 各点眼液に含まれるベンザルコニウム塩化物は、ソフトコンタクトレンズに吸着される。
3 リパスジル塩酸塩水和物点眼液は、塩基性薬物が主薬であるため、保存剤は添加されていない。
4 ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合懸濁性点眼液中の懸濁粒子の粒子径は、約150 µmである。
5 ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合懸濁性点眼液は、点眼液の粘度を高めて懸濁状態を安定化する添加剤が加えられている。
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問280 解答 2、4
複数の点眼剤を併用して点眼する場合、水溶性点眼剤を先に、油性点眼剤及び懸濁性点眼剤は後に点眼する。本処方のうち、処方1のビマトプロスト点眼液0.03%と処方2のリパスジル塩酸塩水和物点眼液0.4%は、水性点眼剤であり、処方4のブリンゾラミド1%/チモロールマレイン酸塩0.5%配合懸濁性点眼液は、懸濁性点眼剤である。よって、処方4は最後に点眼する。
1 誤
前記参照
2 正
朝の右目への点眼は、水性点眼剤である処方2を先に点眼した後、懸濁性点眼剤である処方4を点眼するように説明する。
3 誤
懸濁性点眼剤である処方4を、最後に点眼するように説明する。
4 正
処方4は懸濁性点眼剤であるため、保存中に本剤の成分が容器内に沈殿する可能性がある。よって、使用時にキャップを閉じた状態でよく振ってから使用するように説明する。
5 誤
点眼剤の1滴は約20〜50 µLであるのに対し、結膜嚢の最大保持用量は約20〜30 µLであるため、点眼剤を1回に複数液点眼しても眼球外へ排泄される。よって、点眼剤は1回に1滴と説明する。
問281 解答 2、5
1 誤
ビマトプロスト点眼液は、水性点眼液であるため、油性点眼液よりも先に点眼することで、効果を高めることができる。
2 正
各点眼液に含まれるベンザルコニウム塩化物(保存剤)は、ソフトコンタクトレンズに吸着される。
3 誤
本剤は、多回投与容器に充填された製剤であり、一般に保存剤が添加されている。
4 誤
日本薬局方製剤総則において懸濁性点眼液中の粒子は、通例、最大粒子径は75 µm以下とされている。
5 正
本剤は、懸濁性点眼液の粘度を高めて懸濁状態を安定化する目的で粘稠剤が加えられている。
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