薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 理論問題 - 問 94
日本薬局方において、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルの定量法は以下のように規定されている(一部省略)。この定量法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
定量法 本品及びヒドロコルチゾンコハク酸エステル標準品を乾燥し、その①約50 mgずつを精密に量り、それぞれをメタノールに溶かし、正確に50 mLとする。この液5 mLずつを正確に量り、それぞれに内標準溶液5 mLを正確に加えた後、メタノールを加えて50 mLとし、試料溶液及び標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液10 µLにつき、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行い、内標準物質のピーク面積に対するヒドロコルチゾンコハク酸エステルのピーク面積の比QT及びQSを求める。
ヒドロコルチゾンコハク酸エステル(C25H34O8)の量(mg)= ア
MS:ヒドロコルチゾンコハク酸エステル標準品の秤取量(mg)
内標準溶液:パラオキシ安息香酸ブチルのメタノール溶液(1→2500)
試験条件
②検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254 nm)
カラム:内径4 mm、長さ30 cmのステンレス管に10 µmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:25℃付近の一定温度
③移動相:pH4.0の酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液/アセトニトリル混液(3:2)
流量:ヒドロコルチゾンコハク酸エステルの保持時間が約5分になるように調整する。
システム適合性
システムの性能:標準溶液10 µLにつき、上記の条件で操作するとき、ヒドロコルチゾンコハク酸エステル、内標準物質の順に溶出し、その イ は9以上である。
システムの再現性:略
1 下線部①のように「約」を付けたものは、記載された量の±3%の範囲を意味する。
2 ア に入るのは、MS×QT/QSである。
3 下線部②の検出に用いる光源は、タングステンランプである。
4 下線部③の移動相中のアセトニトリルの割合を増やすと、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルの保持時間は短くなる。
5 イ に入るのは、「理論段数」である。
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解答 2、4
1 誤
日本薬局方において、試料の採取量に「約」を付けたものは、記載された量の±10%の範囲を意味する。
2 正
内標準法において、溶液中の医薬品濃度と内標準物質のピーク面積に対するヒドロコルチゾンコハク酸エステルのピーク面積の比は比例関係にあるため、試料溶液の濃度をCT、標準溶液の濃度をCSとすると、以下の式が成り立つ。
CT:CS=QT:QS …①
また、試料溶液調製時のヒドロコルチゾンコハク酸エステルの秤取量をx mgとすると、試料溶液及び標準溶液は同様の希釈手順で調製するため、各溶液の濃度比は秤取量に比例し、以下の式が成り立つ。
CT:CS=x:MS …②
①式と②式より、
x:MS=QT:QS
よって、x=MS×QT/QSとなるため、 ア に入るのは、MS×QT/QSである。
3 誤
本定量法では紫外線領域の電磁波(波長254 nm)の吸光度を測定するため、重水素放電管を光源として用いる。なお、可視光線領域の電磁波の吸光度を測定する際、タングステンランプを光源として用いる。
4 正
本定量法は、オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したカラムを用いた逆相分配クロマトグラフィーである。アセトニトリルは、酢酸や酢酸ナトリウムと比較して極性が低い化合物であり、アセトニトリルの割合を増やすと、移動相の極性が相対的に低下するため、極性の低いヒドロコルチゾンコハク酸エステルは移動相に分配されやすくなるため、保持時間は短くなる。
5 誤
イ に入るのは、「分離度」である。なお、システム適合性とは、クロマトグラフィーを用いた試験法には不可欠の項目であり、医薬品の試験に使用するシステムが、当該の試験を行うのに適切な性能で稼働していることを一連の品質試験ごとに確かめることを目的としている。
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