薬剤師国家試験 令和05年度 第108回 - 一般 理論問題 - 問 170
薬物のリンパ系への移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 消化管からリンパ系を介して吸収された薬物は、肝初回通過効果を受けずに全身循環系に到達する。
2 リンパ系に移行した薬物は、血液循環系へ移行した薬物に比べてゆっくりと全身に分布する。
3 毛細リンパ管内皮細胞は密着結合を形成しているため、分子量の小さい薬物の方が透過しやすい。
4 皮下投与された抗体医薬品は、リンパ系へ移行しにくい。
5 リンパ系に移行した薬物は、胸管リンパを経て肺動脈に入り、全身循環血を介して体内に分布する。
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解答 1、2
体内における薬物の分布は、主に血液とリンパ液を介して行われる。多くの薬物は全身循環血液により運ばれるが、一部の薬物は腸間膜リンパ及び毛細リンパ管を経由してリンパ液により運ばれる。一般的な血管(血液)とリンパ管(リンパ液)の特徴を以下の表にまとめる。
1 正
消化管からリンパ系を介して吸収された薬物は、肝臓を経ずにリンパ液を流れて鎖骨下静脈及び左肩下静脈で血液系に合流し、全身循環に移行する。そのため、肝初回通過効果を受けずに全身循環系に到達する。
2 正
リンパ液の流速は、血液に比べて遅いため、リンパ系に移行した薬物は、血液循環系へ移行した薬物に比べてゆっくりと全身に分布する。
3 誤
毛細リンパ管内皮細胞は密着結合を形成しておらず、細胞間隙は毛細血管より広いため、高分子量の薬物が透過可能である。
4 誤
皮下投与及び筋肉内投与された場合、分子量が約5,000以上の薬物は、毛細血管を透過しにくいため、リンパ管へ移行する。抗体医薬品は高分子量薬物であるため、皮下投与した場合血管系へ移行しにくく、リンパ系へ移行しやすい。
5 誤
リンパ系に移行した薬物は、胸管リンパを経て鎖骨下静脈及び左肩下静脈に入り、全身循環血を介して体内に分布する。
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解説動画1 ( 12:49 )
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