薬剤師国家試験 令和06年度 第109回 - 一般 実践問題 - 問 312,313
80歳男性。脊柱管狭窄症があり、自宅療養中。骨粗しょう症があり、定期的にイバンドロン酸ナトリウム水和物の注射を受けていたが、腰痛がひどく、新たに処方1の薬剤が追加され使用している。この男性は、娘が介護を行うにあたり近々娘の家で同居することとなり、娘から近隣の薬局に処方1の薬剤の取扱いがあるか問合せがあった。
現在、当該薬局では処方1の取扱いはなかったが、男性が引っ越してくるまでに時間があるため、処方1の製造販売業者が提供するシステムへの調剤施設の登録などの手続きを行い、調剤できる準備を整えることになった。
問312(法規・制度・倫理)
麻薬及び向精神薬取締法に基づく処方1に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 調剤するには、薬局の許可のほかに麻薬小売業者の許可を要する。
2 処方箋に、麻薬施用者の免許証の番号が記載されているか確認しなければならない。
3 堅固な設備内に施錠して保管しなければならない。
4 廃棄する際、法令に基づく許可や届出の必要はない。
5 規定の数量以上の紛失等の事故が発生した場合、「向精神薬事故届」を届け出なければならない。
問313(実務)
引越し後、処方1を当該薬局において調剤した際、患者の娘から使い方の説明を求められた。薬剤師が行う説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 腰の痛い場所に貼ってください。
2 皮膚に傷のあるところには貼付しないでください。
3 半分に切って使用しないでください。
4 使用済のお薬は、接着面を表にして処分してください。
5 このお薬がよく効くように、貼った部位を電気毛布等でよく温めてください。
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問312 解答 4、5
処方1のブプレノルフィン経皮吸収型製剤は、第二種向精神薬に指定されており、リスク管理の観点から、承認条件が付与されている。
本剤を処方・使用するにあたり医師は製造販売業者の提供する講習を受講するとともに、薬剤師は処方医が講習を終了した医師であることを確認した後に調剤する必要がある。また、本剤を処方・使用する医療機関は登録医療機関として、本剤を調剤する薬局は登録薬局として登録を受ける必要がある。
1 誤
薬局において麻薬を調剤するときは、麻薬小売業者の免許を必要とする。また、薬局開設者は向精神薬小売業者の免許を受けた者とみなされるため、別段の申出を行わない限り、薬局開設の許可を受けた時点で向精神薬の調剤を行うことができる。本剤は第二種向精神薬であるため、麻薬小売業者の免許を受ける必要はない。
2 誤
本剤は第二種向精神薬であるため、処方医は処方箋に麻薬施用者の免許証番号を記載する必要はなく、薬局において麻薬施用者の免許証番号の確認を行う必要もない。
3 誤
薬局において堅固な設備内に施錠して保管する必要がある医薬品は麻薬である。
本剤は向精神薬であるため、業務に従事する者が実地に盗難防止の注意をする場合を除き、かぎをかけた設備内で保管する必要がある。
4 正
本剤は向精神薬であり、廃棄する場合には、法令に基づく許可や届出は必要ではない。
5 正
薬局において所有する向精神薬につき、規定の数量以上の滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、速やかにその向精神薬の品名及び数量その他事故の状況を明らかにするために必要な事項を、都道府県知事に届け出なければならない。
問313 解答 2、3
1 誤
本剤は、前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部のいずれかの部位に貼るよう説明する。
2 正
本剤の吸収に影響を及ぼすため、傷口や皮膚に異常がある部位は避けて貼付するよう説明する。
3 正
本剤をハサミ等で切って使用すると本剤の放出速度に影響を及ぼす可能性があるため、本剤をハサミ等で切って使用しないよう説明する。
4 誤
本剤の使用済み製剤は、粘着面を内側に折り貼り合わせた後、通常の医薬品と同様に廃棄するよう説明する。
5 誤
本剤貼付中に体温が上昇した場合、貼付部位の温度が上昇しブプレノルフィンの吸収量が増加し、過量投与になる可能性があるため、本剤貼付中に貼った部位を温めることは避けるよう説明する。
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