薬剤師国家試験 令和07年度 第110回 - 一般 理論問題 - 問 114
ヒトにおける脂肪酸の生合成に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ミトコンドリアで行われる。
2 アシル鎖の伸長過程で、補酵素としてNADHが利用される。
3 クエン酸により促進される。
4 アセチルCoAを前駆物質としてリノール酸が合成される。
5 アセチルCoAをマロニルCoAに転換する反応が律速段階である。
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解答 3、5
1 誤
ヒトにおいて、パルミチン酸(炭素数16の飽和脂肪酸)までの脂肪酸の生合成は細胞質で行われ、ステアリン酸(炭素数18の飽和脂肪酸)以降の生合成は主に小胞体で行われる。なお、ミトコンドリアのマトリックスで行われるのは脂肪酸の分解(β酸化)であり、脂肪酸の生合成は行われない。
2 誤
アシル鎖の伸長過程で、補酵素として利用されるのはNADPHである。NADPHはアシル鎖の伸長過程において行われる還元反応に用いられる。
3 正
ヒトの脂肪酸生合成過程における律速段階は、アセチルCoAカルボキシラーゼが触媒する炭酸固定反応である。通常クエン酸は、クエン酸回路により代謝されてATPの産生に利用される。しかし、栄養状態が良好でATPの産生が必要ではない場合、クエン酸はミトコンドリアから細胞質に移動し、アセチルCoAカルボキシラーゼの活性化を行う。
4 誤
リノール酸(炭素数18で二重結合を2つ有する不飽和脂肪酸)は、ヒトにおいてアセチルCoAを前駆体として合成することはできない。アセチルCoAから合成されたステアリン酸(炭素数18の飽和脂肪酸)に不飽和化酵素を働かせ、オレイン酸(炭素数18で二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸)を生成することはできるが、リノール酸を生成することはできない。これはオレイン酸がω9系の不飽和脂肪酸であるのに対して、リノール酸はω6系の不飽和脂肪酸であり、異なる系であるためである。
5 正
アセチルCoAをマロニルCoAに転換する反応はアセチルCoAカルボキシラーゼが触媒する炭酸固定反応であり、ヒトの脂肪酸生合成過程における律速段階である。
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解説動画1 ( 08:51 )
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