薬剤師国家試験 令和07年度 第110回 - 一般 理論問題 - 問 118
マクロファージをリポ多糖で刺激して得た培養液を採取し、この培養液中のサイトカインXの濃度をサンドイッチELISA(Enzyme−linked immunosorbent assay)法で定量することにした。各試料をマイクロプレートに採取し反応を行った後、450 nmの吸光度を測定した。サイトカインXの標準物質を用いて標準曲線(検量線)を作成したところ、下図のようになった。この測定に関する記述として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 この培養液の測定値が吸光度1.5であった場合、培養液を希釈して再測定することが必要である。
2 10倍希釈した培養液の測定値が吸光度0.6である場合、もとの培養液中のサイトカインX濃度は約600 pg/mLである。
3 培養液に含まれる別のサイトカインYを測定するためには、サイトカインXの測定とすべて同じ抗体を利用できる。
4 サンドイッチELISA法では抗原に対する2種類の抗体が使われるが、それぞれの抗体が認識するエピトープは異なる。
5 この培養液の測定で発色が検出限界以下だった場合、標準曲線(検量線)の測定の場合よりも反応時間を長めにしてもよい。
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解答 1、4
1 正
本実験の標準曲線(検量線)は、縦軸に吸光度(測定波長:450nm)、横軸にサイトカインXの濃度(pg/mL)をとっており、縦軸は0〜1の範囲、横軸は0〜1200(pg/mL)の範囲で作成されている。
この培養液の測定値が吸光度1.5であった場合、標準曲線(検量線)の吸光度(0〜1)よりも大きいことから、この培養液の濃度が高すぎると考えられる。そのため、培養液を希釈して再測定することが必要である。
2 誤
培養液を希釈してサイトカインXの濃度を求める場合は、検量線から求められるサイトカインXの濃度に希釈倍率を乗じる必要がある。検量線より、10倍希釈後の培養液の測定値が吸光度0.6である場合、希釈後のサイトカインXの濃度は約600 pg/mLとなる。そのため、10倍希釈前の培養液中のサイトカインXの濃度は約6000 pg/mLとなる。
3 誤
培養液に含まれる別のサイトカインYを測定するためには、サイトカインYと特異的に結合する抗体を用いる必要があり、サイトカインXの測定とすべて同じ抗体を利用できるわけではない。
4 正
サンドイッチELISA法では同一抗原の異なるエピトープを捕捉する抗体を用いるため、認識するエピトープが異なる2種類の抗体を準備する必要がある。
5 誤
検出限界とは、試料に含まれる分析対象の検出が可能な最低の量や濃度を指す。検量線法において、測定値が検出限界を下回った場合、測定結果の正確性を保証できない。
また、検量線法では、標準物質溶液と同一条件で測定を行う必要があるため、反応時間を長くすることは不適切である。
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