薬剤師国家試験 令和07年度 第110回 - 一般 理論問題 - 問 137
地球環境の保全に関する国際的な取組みに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 水銀に関する水俣条約では、水銀化合物及び水銀化合物を使用した製品の製造と輸出入が規制されている。
2 生物の多様性に関する条約カルタヘナ議定書では、絶滅のおそれのある野生動物の種の国際取引が規制されている。
3 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約では、クロロフルオロカーボン及びハイドロクロロフルオロカーボンなど残留性有機化合物の使用が規制されている。
4 ロンドン条約1996年議定書では、廃棄物等の海洋投棄及び洋上焼却が規制されている。
5 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書では、温室効果ガスである二酸化炭素排出量の削減目標が定められている。
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解答 1、4
1 正
水銀に関する水俣条約は、水銀の一次採掘から貿易、水銀添加製品や製造工程での水銀利用、大気への排出や水・土壌への放出、水銀廃棄物に至るまで、水銀が人の健康や環境に与えるリスクを低減するための包括的な規制を定めたものである。
2 誤
生物の多様性に関する条約であるカルタヘナ議定書は、遺伝子組換え生物の国境を越える移動に焦点を当て、生物多様性の保全及び持続可能な利用に影響を及ぼさないよう、安全な移送、取扱い及び利用について、十分な保護を確保するための措置を規定したものである。なお、絶滅のおそれのある野生動物の種の国際取引を規制しているのは、ワシントン条約である。
3 誤
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)は、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動が懸念される残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定したものである。なお、クロロフルオロカーボン及びハイドロクロロフルオロカーボンなどのオゾン層破壊作用をもつ物質の使用は、ウィーン条約に基づくモントリオール議定書において規制されている。
4 正
1972年に水銀、カドミウム、放射性廃棄物などの有害廃棄物を限定的に列挙し、これらの海洋投棄を禁止した「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約(ロンドン条約)」が採択された。その後、世界的な海洋環境保護の必要性への認識の高まりを受けて、同条約による海洋汚染の防止措置をさらに強化するため、「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の1996年の議定書(ロンドン議定書)」が採択された。同議定書では、廃棄物等の海洋投棄及び洋上焼却を原則禁止した。
5 誤
オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書では、クロロフルオロカーボン及びハイドロクロロフルオロカーボンなどのオゾン層破壊作用をもつ物質の使用が規制されている。なお、温室効果ガスである二酸化炭素排出量の削減目標が定められているのは、パリ協定である。
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