薬剤師国家試験 令和07年度 第110回 - 一般 理論問題 - 問 138
下図は、薬品沈殿-急速ろ過方式の浄水過程を模式的に示したものである。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 Aの段階で前塩素処理を追加すると、アンモニア態窒素を除去したり、藍藻類の繁殖を抑制したりすることができる。
2 Bの段階で中塩素処理、次いで粒状活性炭処理を追加すると、生物膜を形成した生物活性炭による有機物の除去に有効である。
3 急速ろ過の過程では、主に砂層及び石礫(れき)層に繁殖した微生物によって有機物が除去される。
4 Cの段階でオゾン処理及び粒状活性炭処理を追加すると、溶解性の有機物や臭気物質の除去に有効である。
5 トリハロメタン前駆物質の除去を目的として、Dの段階で粉末活性炭を注入する。
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解答 1、4
1 正
Aの段階で行う塩素処理を前塩素処理といい、アンモニア態窒素を除去したり、藍藻類の繁殖を抑制したりすることができる。
2 誤
粒状活性炭は、微生物が定着し生物膜を形成することで有機物の除去に有効であるが、Bの段階の中塩素処理後に追加すると塩素の殺菌作用により微生物が定着しにくくなる。そのため、生物膜を形成した生物活性炭の効果を得るためには、粒状活性炭処理の後工程で塩素処理を行う。
3 誤
緩速ろ過の記述である。なお、急速ろ過は、速い速度で砂層及び石礫層に水を通して浄化する方法であるため、微生物による有機物の除去効果は期待できない。
4 正
Cの段階でオゾン処理及び粒状活性炭処理を追加すると、オゾンの酸化作用及び粒状活性炭の吸着作用により、溶解性の有機物や臭気物質の除去に有効である。
5 誤
粉末活性炭はトリハロメタンの前駆物質であるフミン質の除去を目的として用いられるが、フミン質は塩素処理によりトリハロメタンとなるため、粉末活性炭の注入は塩素処理前に行う必要がある。また、粉末活性炭は使用後、沈殿、ろ過により取り除かないと飲料水中に残存してしまうため、沈殿、ろ過の前工程であるAの段階で実施する。
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解説動画1 ( 08:45 )
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