薬剤師国家試験 令和07年度 第110回 - 一般 理論問題 - 問 148
評価対象医薬品Aは比較対照医薬品Bと比べて追加的有用性が示されており、費用効用分析を行うこととなった。分析の結果、増分費用効果比(ICER)は「200万円/QALY」であった。分析結果の記述として、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 Aに切り替えずBを使用する場合、1QALY当たり200万円の費用を削減できる。
2 Bを使用してAと同等のQALYを得るには、200万円の費用の追加が必要である。
3 Aに切り替えずBを使用することによって1QALYの減少に伴い、200万円の費用の削減ができる。
4 BからAに切り替える場合、1QALY当たり200万円の費用を削減できる。
5 BからAに切り替えることによって、1QALYを追加的に得るのに200万円の費用の追加が必要である。
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解答 5
費用効用分析とは、効果(生存年数など)とQOLの両方を考慮した質調整生存年(QALY:Quality Adjusted Life Year)と呼ばれる指標を用いて、費用を評価する分析法である。
質調整生存年(QALY)は、想像できる最も健康な状態を1とし、死亡を0としてある病態のQOLを効用値として0〜1でスコア化し、これに生存年数を乗じることにより求められる。
増分費用効果比(ICER:Incremental Cost Effectiveness Ratio)は、比較対照医薬品から評価対象医薬品に切り替える際に、「効用値を1単位追加で得るために必要な追加費用」を表す指標であり、(評価対象医薬品と比較対照医薬品の費用の増分)/(評価対象医薬品と比較対照医薬品の効用値の増分)で求められる。
本問では、評価対象医薬品Aの費用(計100名)は3億円で効用は60 QALY、比較対照医薬品Bの費用(計100名)は2億円で効用は10 QALYであることから、
ICER=(3億円−2億円)/(60 QALY−10 QALY)=1億円/50QALY=200万円/QALY
したがって、ICERは200万円/QALYと求められる。
このため、「BからAに切り替えることによって、1QALYを追加的に得るのに200万円の費用の追加が必要である。」と考察することができる。
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