薬剤師国家試験 令和07年度 第110回 - 一般 理論問題 - 問 150
薬剤師と実務実習生の会話である。会話内容に関する記述として適切なのはどれか。2つ選べ。
薬 剤 師:初めての服薬指導はうまくできましたか?
実務実習生:いいえ、あまりうまくできませんでした。
薬 剤 師:①どのあたりがうまくいかないと思ったのですか?
実務実習生:本当の患者さんを前にして緊張してしまい、準備した資料が気になって②患者さんの目をあまり見られませんでした。
薬 剤 師:③初めての服薬指導は緊張しますよね。それで、緊張して患者さんの目を見てお話ができなかったと感じているのですね。
実務実習生:そうなんです。
薬 剤 師:私が見ていた感想としては、④漏れなく情報を伝えられたのは非常に良かったです。患者さんの目を見てお話できなかった点は改善すべきですが、患者さんの気持ちに寄り添ってお話しようと取り組んでいたのは素晴らしかったです。
実務実習生:ありがとうございます。次回は患者さんの目を見てお話することを意識してみます。
1 ①で薬剤師は、実務実習生が考えや気持ちを話せるように、閉じた質問を行った。
2 ②で実務実習生は、言語コミュニケーションがうまくできなかったことを伝えた。
3 ③で薬剤師は、実務実習生の話を理解していることを伝えるために、実務実習生が話した内容を共感的に繰り返した。
4 ④で薬剤師は、Positive・Negative・Positiveを活用してフィードバックした。
5 実務実習生は、薬剤師との会話の中で終始、非主張的な反応を示していた。
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解答 3、4
1 誤
①で薬剤師が行ったのは、開いた質問である。閉じた質問とは、聞かれた人が、「はい」か「いいえ」などの二択で答えられる質問のことであり、本問の質問は答える側が決まった答えではなく、どのようにでも答えられるように聞く質問であるため開いた質問である。
2 誤
②における実務実習生のコミュニケーションは、非言語コミュニケーションである。コミュニケーションは、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションに大別される。言語コミュニケーションとは、言葉で伝えるコミュニケーションのことであり、口で伝えるもの以外にも、手話などの文字として伝えるものもある。また、非言語コミュニケーションとは、言語以外のコミュニケーションのことであり、例えば姿勢・動作・表情・視線・声の調子・距離感などによって発信するコミュニケーションである。
3 正
③の薬剤師のコミュニケーションでは、聞き手が話し手に対して共感的繰り返しを行うことにより、話し手は聞き手が気持ちを理解した上で共感してくれていると感じ、心理的距離を近づける効果が期待できる。
4 正
④で薬剤師は「漏れなく情報を伝えられたのは非常に良かったです。」(Positive)、「患者さんの目を見てお話できなかった点は改善すべきですが」(Negative)、「患者さんの気持ちに寄り添ってお話しようと取り組んでいたのは素晴らしかったです。」(Positive)というように、改善点に関する指摘で終わらず、Positive・Negative・Positiveでメッセージを伝えることにより、相手が改善点を受け入れやすくなるよう心がけている。
5 誤
非主張的な反応とは、自分の気持ちや考えを表現しない反応である。本問の実習生は、「本当の患者さんを前にして緊張してしまい、準備した資料が気になって患者さんの目をあまり見られませんでした。」、「次回は患者さんの目を見てお話することを意識してみます。」と発言しているため、自分の気持ちや考えを表現しており、非主張的な反応には該当しない。
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