薬剤師国家試験 令和07年度 第110回 - 一般 理論問題 - 問 164
脂質異常症治療薬に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 アトルバスタチンは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)還元酵素を阻害して、肝細胞の低密度リポタンパク質(LDL)受容体を増加させる。
2 コレスチミドは、転写因子SREBP−1cの活性を抑制して、トリグリセリドの合成を抑制する。
3 プロブコールは、小腸コレステロールトランスポーターを阻害して、腸管からのコレステロール吸収を抑制する。
4 ベザフィブラートは、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)を阻害して、超低密度リポタンパク質(VLDL)の産生を抑制する。
5 ニコモールは、ニコチン酸受容体を刺激し、脂肪組織における脂肪分解を抑制して、肝臓への遊離脂肪酸の動員を減少させる。
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解答 1、5
1 正
アトルバスタチンは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)還元酵素を阻害して、肝細胞の低密度リポタンパク質(LDL)受容体を増加させることで、血中LDLコレステロールを低下させる。
2 誤
コレスチミドは、陰イオン交換樹脂であり、腸管内で胆汁酸と結合し胆汁酸の排泄を促進する。これにより、肝細胞でコレステロールから胆汁酸への異化が亢進し、肝臓でのコレステロールの需要が高まることで、血中LDLコレステロール値を低下させる。なお、脂質合成系の諸酵素の活性を調節している転写因子SREBP−1cの活性を抑制して、トリグリセリドの合成を抑制する薬剤は、イコサペント酸エチルである。
3 誤
プロブコールは、コレステロールの胆汁酸への異化排泄を促進して、血中LDLコレステロールを低下させる。なお、小腸コレステロールトランスポーター(NPC1L1)を阻害して、腸管からのコレステロール吸収を抑制する薬剤は、エゼチミブである。
4 誤
ベザフィブラートは、脂肪細胞のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)を刺激することにより、リポタンパクリパーゼ(LPL)を活性化し、血中トリグリセリド(TG)を低下させる。なお、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)を阻害して、超低密度リポタンパク質(VLDL)の産生を抑制する薬剤は、ロミタピドである。
5 正
ニコモールは、ニコチン酸受容体を刺激し、脂肪組織における脂肪分解を抑制して、肝臓への遊離脂肪酸の動員を減少させることで、肝臓での超低比重リポタンパク質(VLDL)の合成を抑制する。
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