薬剤師国家試験 令和07年度 第110回 - 一般 理論問題 - 問 95
放射性医薬品に汎用されるテクネチウム99mTcは、99Moから放射平衡を利用してジェネレーターにより得られる。このことに関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。
1 放射平衡は、親核種の半減期が娘核種の半減期より十分長いときに成り立つ。
2 99Moと99mTcの間には永続平衡が成り立つ。
3 99mTcの壊変形式は核異性体転移である。
4 カラムから未壊変の99Moを溶出する方法をミルキングという。
5 カラムの担体には微量のTlを含むNaIの単結晶を用いる。
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解答 1、3
放射平衡とは、親核種とその娘核種との間で放射能の比が一定になる状態をいい、親核種の半減期が娘核種の半減期より十分長い場合に成り立つ。放射平衡の中で、親核種の半減期が娘核種の半減期の数倍から数十倍程度の場合を過渡平衡、親核種の半減期が娘核種の半減期の数百倍以上の場合を永続平衡という。

1 正
前記参照
2 誤
親核種である99Moの半減期は約66時間と、娘核種である99mTcの半減期の約6時間の約11倍であるため、99Moと99mTcの間には過渡平衡が成り立つ。
3 正
99mTcは質量数に準安定状態を表す「m」があるため、壊変形式は核異性体転移である。なお、99mTcは核異性体転移によりγ線を放出しながらエネルギーの低い安定状態の99Tcに変換される。
4 誤
ミルキングとは、放射平衡が成立している場合、長い半減期をもつ親核種から短い半減期の娘核種を繰り返し分離・抽出する方法であり、本問の99Moから壊変後に溶出する99mTcを得るのはミルキングに該当する。
5 誤
カラムの担体にはアルミナが一般的に用いられる。なお、微量のTlを含むNaIの単結晶はγ線測定装置であるNaI(Tl)シンチレーション検出器で用いられている。
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