薬剤師国家試験 令和08年度 第111回 - 一般 実践問題 - 問 250,251
33歳女性。身長158 cm、体重52 kg。夫と2人暮らし。1年半前より朝の関節のこわばりや痛みを自覚し、1年前に両側の手関節の腫脹・疼痛が出現した。近医でリウマトイド因子陽性の関節リウマチと診断され、治療が開始された。処方1〜3で治療継続中であったが、疾患活動性の上昇により7日前に入院した。病棟カンファレンスで処方3が処方4へ変更されることになった

問250(実務)
病棟カンファレンスに参加した医療チームで情報共有する内容として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 メトトレキサート服用により感染リスクが高まる。
2 トファシチニブ服用により出血傾向になる。
3 トファシチニブ服用により帯状疱疹が発生しやすくなる。
4 トファシチニブ投与中及び終了後少なくとも1月経周期は適切な避妊を行う。
5 トファシチニブはシトクロムP450で代謝されるため、他の薬剤との併用に注意する。
問251(薬理)
処方1~4のいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 IL-6受容体に結合することで、IL-6により誘導される炎症反応を抑制する。
2 抗原提示細胞表面のCD80/CD86に結合することで、CD28を介した共刺激シグナルを抑制する。
3 ヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害することで、リンパ球の活性化を阻害する。
4 カルシニューリンを阻害することで、ヘルパーT細胞におけるIL-2産生を抑制する。
5 ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害することで、チミジル酸の合成を抑制する。
REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
問250 解答 2
1 適切
メトトレキサートは葉酸代謝拮抗作用により免疫抑制をきたすため、感染症(間質性肺炎、肺感染症等)のリスクが高まることは情報共有する内容として適切である。
2 不適切
トファシチニブを含むJAK阻害薬で特に注意すべき重大な副作用は、感染症(帯状疱疹)、静脈血栓塞栓症などであり、出血傾向は本剤の代表的な注意点ではない。
3 適切
解説2参照
4 適切
トファシチニブは動物実験で催奇形性が報告されていることから、投与中及び投与終了後少なくとも1月経周期は適切な避妊を行う必要があることは情報共有する内容として適切である。
5 適切
トファシチニブは主にCYP3A4で代謝されるため、CYP3A4阻害薬・誘導薬との併用に注意が必要であることは情報共有する内容として適切である。
問251 解答 3、5
1 誤
トシリズマブに関する記述である。トシリズマブは、IL-6受容体抗体であり、IL-6受容体に結合してIL-6のシグナル伝達を阻害することで炎症反応を抑制する。
2 誤
アバタセプトに関する記述である。アバタセプトは、抗原提示細胞表面のCD80/CD86に結合し、CD28を介した共刺激シグナルを抑制することで、T細胞の活性化を抑制する。
3 正
トファシチニブに関する記述である。トファシチニブは、ヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害することで、サイトカイン受容体を介したリンパ球の活性化などの免疫反応を抑制する。
4 誤
シクロスポリンやタクロリムスに関する記述である。シクロスポリンやタクロリムスは、イムノフィリンに結合し、カルシニューリンを阻害することで、ヘルパーT細胞におけるIL-2産生を抑制する。
5 正
メトトレキサートに関する記述である。メトトレキサートは、ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害することで活性葉酸(テトラヒドロ葉酸)の産生を抑制する。その結果、チミジル酸及びプリンヌクレオチドの合成を抑制することで、核酸合成を抑制する。
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿