薬剤師国家試験 平成24年度 第97回 - 一般 実践問題 - 問 202,203
55歳男性。血液透析を受けている。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の治療のため、テイコプラニンの投与が開始された。
問202(実務)
テイコプラニンに関する薬剤情報として、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 作用は殺菌的である。
2 血中濃度モニタリングは、最低血中濃度を指標として行う。
3 薬剤の効果は時間依存的である。
4 初回は、急速なワンショット静注で投与する。
5 腎機能障害患者では、血中半減期が延長する。
問203(物理・化学・生物)
テイコプラニンの血中濃度の測定には、通常、免疫測定法が利用される。免疫測定法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 免疫測定法は、多成分の一斉分析に適している。
2 ELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)とは、酵素に特異的な抗原を検出・ 定量する方法である。
3 通常用いられるのは、IgGクラスの抗体である。
4 モノクローナル抗体を用いる系では、交差反応性は認められない。
5 均一系免疫測定法は、B(bound)/F(free)分離を必要としない。
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問202 解答 4
1 正しい
テイコプラニンは、グリコペプチド系抗生物質であり、細胞壁合成を阻害することで殺菌的作用を示す。
2 正しい
テイコプラニン投与中は、血中濃度モニタリング(TDM)を行うことが望ましい。テイコプラニンのTDMでは、最低血中濃度を指標として用いる。
3 正しい
4 誤っている
テイコプラニンを急速静注で用いると、ヒスタミン遊離によるレッドマン症候群を引き起こすことがあるため、本剤の使用にあたっては、30分以上かけて点滴静注する必要がある。
5 正しい
テイコプラニンは腎消失型であるため、腎機能障害患者では腎機能正常者よりも血中半減期が延長することがある。
問203 解答 3、5
1 誤
免疫学的測定法は、抗原抗体反応を用いて、不純物の多い生体資料から目的とする測定対象物質を選択的かつ特異的に測定する方法である。よって、免疫学的測定法は、多成分の一斉分析には適していない。
2 誤
ELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)は、酵素イムノアッセイの一種であり、酵素標識した抗体に特異的な抗原を検出させる方法である。
3 正
イムノアッセイでは、通常、IgGクラスの抗体が用いられる。
4 誤
交差反応とは、抗体が目的抗原と別の物質と反応することであり、モノクローナル抗体を用いる系でも、交差反応が認められることがある。
5 正
B(bound)/F(free)分離とは、抗原抗体複合体(結合型B)と、結合しなかった抗原又は抗体(遊離型F)を分離することであり、均一系測定法では、B(bound)/F(free)分離を必要としない。なお、不均一系測定法では、B(bound)/F(free)分離を必要とする。
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