薬剤師国家試験 平成24年度 第97回 - 一般 実践問題 - 問 204,205
60歳男性。以下の薬剤が処方されている。労作性狭心症の診断のため、イオパミドールを用いて造影検査を実施することになった。
問204(実務)
この患者に対する情報提供の内容として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 アムロジピンベシル酸塩は、持続作用により耐性を生じるので定期的に休薬する。
2 検査の2日前からメトホルミン塩酸塩錠を休薬する。
3 イオパミドールの投与直後に血圧低下や呼吸困難が現れた場合、すぐに治まるので処置は不要である。
4 検査の数日後に、遅発性のアレルギー症状が現れることがある。
問205(物理・化学・生物)
画像診断薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 X線造影剤として硫酸バリウムが利用されるのは、X線のバリウム原子に対する透過性が高いからである。
2 MRI造影剤として常磁性物質を利用するのは、常磁性物質がプロトンのT1及びT2緩和時間を変化させるからである。
3 超音波診断用の造影剤は、エコー信号を増強させる。
4 14Cは、PET検査で用いられるポジトロン放出核種である。
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問204 解答 2、4
1 誤
アムロジピン酸塩は、持続使用により耐性を生じるとの報告はない。よって、定期的に休薬する必要はない。
2 正
イオパミドールなどのヨード造影剤とメトホルミン塩酸塩錠を併用すると、ヨード造影剤により腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することで乳酸アシドーシスを起こすことがある。そのため、イオパミドールを用いる造影検査を実施する前にメトホルミン塩酸塩錠の投与を一時的に中止する必要がある。
3 誤
イオパミドールの投与直後に血圧低下や呼吸困難が現れた場合、アナフィラキシーショックの可能性があるため、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う必要がある。
4 正
イオパミドール投与後数時間〜数日後に重篤な遅発性副作用等が現れることがあるため、副作用のような症状が現れた場合には、医師又は薬剤師に連絡するよう伝える必要がある。
問205 解答 2、3
1 誤
硫酸バリウムに含まれるバリウム原子は、X線に対する透過性が低く(吸収率が高く)、照射されたX線を吸収する。そのため、硫酸バリウムは、臓器など軟部組織に比べX線吸収率が高い陽性造影剤として用いられる。なお、二酸化炭素、空気などは陰性造影剤であり、臓器など軟部組織に比べX線吸収率は低い。
2 正
核磁気共鳴スペクトル測定法(MRI)の造影剤として、常磁性物質を利用するのは、常磁性物質が金属イオンの周囲にある水分子の水素原子核の緩和を促進し、縦緩和時間(T1)と横緩和時間(T2)を変化させるためである。MRIの造影剤として、ガドリニウム製剤が用いられる。
3 正
超音波診断用造影剤は、微小気泡を発生させ、その微小気泡により強い反射波が発生し、エコー信号を増強させる。超音波診断用造影剤として、ガラクトース・パルミチン酸混合物が用いられる。
4 誤
14Cはβ-線放出核種であり、PET検査には利用されない。なお、PET検査で用いられるポジトロン放出核種として、11C、13N、15O、18Fなどがある。
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