薬剤師国家試験 平成24年度 第97回 - 一般 実践問題 - 問 214,215
医師から、感冒の患者に麻黄湯、小青竜湯を処方する際にどのような点に注意すべきか確認したい旨の問い合わせがあった。
問214(実務)
医師に伝えるべき注意点として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 下痢、軟便のある患者の場合、症状を悪化させることがある。
2 モノアミン酸化酵素阻害剤やカテコールアミン製剤との併用により、神経刺激作用が増強され、不眠や発汗過多になることがある。
3 炎症性疾患の患者では症状を悪化させることがある。
4 肝硬変又は肝癌の患者には使用禁忌である。
5 ループ系利尿薬やチアジド系利尿薬との併用により、低K+血症が増強されることがある。
問215(物理・化学・生物)
問214の根拠となる配合生薬中の成分はどれか。2つ選べ。
1 グリチルリチン酸
2 サイコサポニン類
3 アコニチン
4 l–エフェドリン
5 センノシド類
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問214 解答 2、5
麻黄湯と小青竜湯の配合生薬と効能・効果を以下にまとめる。
麻黄湯
配合生薬:麻黄、杏仁、桂皮、甘草
効能・効果:頭痛、発熱、悪寒、腰痛、ぜん息、自然に汗の出ない場合の感冒、インフルエンザなど
小青竜湯
配合生薬:麻黄、芍薬、甘草、桂皮、細辛、五味子、半夏、乾姜
効能・効果:気管支ぜん息、鼻炎、気管支炎など
1 誤っている
下痢、軟便を悪化させる漢方製剤には、大黄を含む大黄甘草湯などがある。
2 正しい
麻黄に含まれるエフェドリンは交感神経興奮作用を有するため、麻黄を含む漢方製剤(麻黄湯、小青竜湯など)とモノアミン酸化酵素阻害剤やカテコールアミン製剤との併用により、神経刺激作用が増強され、不眠や発汗過多になることがある。
3 誤っている
麻黄湯及び小青竜湯には甘草が含まれているため、共に抗炎症作用を示す。
4 誤っている
肝硬変又は肝癌の患者には使用禁忌の漢方製剤は、小柴胡湯である。
5 正しい
甘草に含まれるグリチルリチン酸は低K+血症を起こすことがあるため、甘草を含む漢方製剤(麻黄湯、小青竜湯、葛根湯など)とループ系利尿薬やチアジド系利尿薬との併用により、低K+血症が増強されることがある。
問215 解答 1、4
1 正
問214 解説5参照
2 誤
サイコサポニン類は、柴胡に含まれているサポニンであり、解熱、消炎作用を有する。
3 誤
アコニチンは、附子に含まれているアルカロイドであり、鎮痛、強心、抗炎症作用を有する。
4 正
問214 解説2参照
5 誤
センノシド類は、大黄などに含まれているアントラキノン類であり、瀉下作用を有する。
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