薬剤師国家試験 平成24年度 第97回 - 一般 実践問題 - 問 216,217

40歳女性。高コレステロール血症の改善のため、処方1で治療を行っていたが、治療効果不十分のため、処方2が追加となった。


問216（実務）
この処方に関する記述のうち、正しいのはどれか。２つ選べ。

１　両薬剤の服用時間をずらす必要があるため、医師に疑義照会した。
２　処方の追加により十分な効果が期待できるため、生活習慣の改善努力は必要ないことを患者に伝えた。
３　ロスバスタチンカルシウム錠を夕食後に服用することが望ましい理由として、コレステロールの生合成が夜間に亢進するため、より高い効果が期待できることを患者に説明した。
４　両薬剤とも横紋筋融解症のリスクがあるため、患者に筋肉痛や脱力感などの副作用症状に気をつけるよう伝えた。


問217（物理・化学・生物）
コレステロール及びリポタンパク質に関する記述のうち、誤っているのはどれか。１つ選べ。

１　健常人の血清中で、総コレステロールの50%以上は低密度リポタンパク質（LDL）に含まれる。
２　健常人の血清中では、コレステロールのエステル型は遊離型よりも多く存在する。
３　血中の大部分のコレステロールエステルは、レシチン：コレステロールアシルトランスフェラーゼ（LCAT）により生成される。
４　キロミクロンは、主に末梢組織からコレステロールを受け取り肝臓へ運搬する。
５　肝臓では、主にアシルCoA：コレステロールアシルトランスフェラーゼ（ACAT）によりコレステロールエステルが生成される。

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問216　解答　３、４

１　誤
HMG−CoA還元酵素阻害薬であるロスバスタチンカルシウム錠と小腸コレステロールトランスポーター阻害薬であるエゼチミブ錠を併用する場合、服用時間をずらす必要はない。

２　誤
脂質異常症（高コレステロール血症）の治療は、食事療法、運動療法に薬物療法を併用して行うため、食事や運動などの生活習慣の改善努力をするように患者に説明する必要がある。

３　正
コレステロールの生合成は夜間に亢進するため、コレステロールの生合成を阻害するロスバスタチンカルシウム錠は夕食後に服用することが望ましい。

４　正
ロスバスタチンカルシウム錠及びエゼチミブ錠は、共に副作用として横紋筋融解症を起こすことがあるため、患者に筋肉痛や脱力感などの副作用症状に気をつけるよう伝える必要がある。


問217　解答　４

１　正しい
健常人の血清中では、総コレステロールの60〜70％が低密度リポタンパク質（LDL）に含まれる。

２　正しい
血清中コレステロールの70〜80％はコレステロールエステルとして存在し、一部は遊離型として存在している。

３　正しい
血中の大部分のコレステロールエステルは、血清中の高密度リポタンパク質（HDL）の表面に存在するコレステロールアシルトランスフェラーゼ（LCAT＊1）により生成される。
LCAT＊1：末梢組織細胞膜などから受けとった遊離コレステロールにレシチンの脂肪酸を転移してコレステロールエステルを生成する酵素

４　誤っている
キロミクロンは、主に植物由来のコレステロールやトリグリセリドを小腸から各組織に運搬する。なお、主に末梢組織からコレステロールを受け取り肝臓へ運搬するのは、HDLである。

５　正しい
肝臓では、ミクロソーム画分に存在するコレステロールアシルトランスフェラーゼ（ACAT＊2）によりコレステロールエステルが生成される。
ACAT＊2：遊離コレステロールにアシル基を転移してコレステロールエステルを生成する酵素

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