薬剤師国家試験 平成24年度 第97回 - 一般 実践問題 - 問 329
高カロリー輸液療法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 腸閉塞で消化管からの栄養補給ができない患者に適用できる。
2 乳酸アシドーシスの予防のため、ビタミンB1の併用が必要である。
3 腎不全患者では、窒素に対する非タンパク質カロリーの比を150~200に設定する。
4 ナトリウムイオンの1日投与量として、20~30 mEq/kgを目安とする。
5 浸透圧比を1~2に設定する。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
解答 1、2
1 正
高カロリー輸液療法は、腸閉塞など消化管からの栄養補給が不十分である場合に適用することが可能である。
2 正
高カロリー輸液療法を行うと、高カロリー輸液に含まれるブドウ糖によって多量のビタミンB1が消費される。ビタミンB1の不足によりブドウ糖から乳酸への嫌気的代謝が促進し、乳酸アシドーシスを呈することが知られている。よって、高カロリー輸液療法中は、乳酸アシドーシスの予防のため、ビタミンB1の併用が必要である。
3 誤
窒素に対する非タンパク質カロリー(NPC/N)比とは、アミノ酸以外の栄養素から計算されるエネルギー量とアミノ酸に含まれる窒素量の比のことであり、健常人では、NPC/N比を150〜200に設定すると効率よくアミノ酸からタンパク質を合成することができる。また、腎不全患者では、NPC/N比を300〜500に設定すると効率よくアミノ酸からタンパク質を合成することができる。
4 誤
ナトリウムイオンの1日投与量として、1~2 mEq/kgを目安とする。
5 誤
高カロリー輸液療法では、血液量の多い中心静脈に緩徐に輸液を投与するため、浸透圧の高いものを使用しても、血液と輸液が混合するため、高浸透圧による疼痛及び組織障害などを起こすことはない。よって、高カロリー輸液の浸透圧比を1〜2に設定する必要はない。
なお、末梢静脈から注射液に関しては、浸透圧による疼痛及び組織障害などを回避するために浸透圧比を1~2に設定する必要がある。
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿