薬剤師国家試験 平成25年度 第98回 - 一般 実践問題 - 問 224,225
55歳男性。身長168 cm、体重82 kg。血清クレアチニン値1.8 mg/mL。気管支ぜん息の既往症がある。高尿酸血症と診断され、以下の薬剤が処方された。
問224(実務)
この処方の内容及び患者指導に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 日頃の尿酸値のコントロールが重要であることを説明し、服薬遵守を促す。
2 テオフィリンが処方された場合は、アロプリノールとの相互作用に注意する。
3 アロプリノールの大部分はオキシプリノールに代謝されるため、腎機能に合わせた減量を考慮する必要はない。
4 海藻類の摂取をなるべく控えるよう指導する。
問225(物理・化学・生物)
アロプリノールは、核酸の代謝に影響する薬物である。ヒトにおけるヌクレオチドの合成及び分解に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 プリン塩基の分解による最終産物は尿素である。
2 サルベージ経路では、ヌクレオチドの分解で生じたヌクレオシドや塩基が再利用される。
3 ピリミジンヌクレオチドが分解されて、キサンチンが生成する。
4 アロプリノールは、キサンチンオキシダーゼを阻害する。
5 プリンヌクレオチドの生合成では、プリン骨格が合成された後に5—ホスホリボシル1—ピロリン酸が付加される。
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問224 解答 1、2
1 正
尿酸値が7.0 mg/mLを超えると高尿酸血症の状態となり、痛風発作を誘発するリスクが高まるので、日頃の尿酸値のコントロールが重要であることを説明し、服薬遵守を促す。
2 正
高尿酸血症治療薬であるアロプリノールは、キサンチンオキシダーゼ阻害作用を有する。また、気管支拡張薬であるテオフィリンは、キサンチンオキシダーゼによって代謝される。テオフィリンとアロプリノールを併用した場合、テオフィリンの血中濃度が上昇してテオフィリン中毒(悪心、嘔吐、けいれんなど)を起こす恐れがあるため、併用には注意が必要である。
3 誤
アロプリノールは腎消失型薬物であるため、腎機能に合わせて投与量を調節する必要がある。
4 誤
尿酸は、尿のpHが低いと結晶化しやすく、尿路結石を形成しやすくなる。海藻類は、尿をアルカリ化する作用があり、尿のpHが高くなると尿酸を体外へ排泄しやすくなるため、海藻類の摂取を推奨する。
問225 解答 2、4
1 誤
プリン塩基(アデニン、グアニン)の分解による最終生成物は尿酸である。なお、ピリミジン塩基(チミン、ウリジン、シトシン)が分解されて生じるアンモニアが、尿素回路で代謝されると尿素になる。
2 正
サルベージ経路とは、プリンヌクレオチドの分解によって生じた遊離プリン塩基とホスホリボシリピロリン酸(PRPP)を結合させてプリン塩基を再合成する経路である。
3 誤
キサンチンは、プリンヌクレオチドが分解されることによって生じる。なお、ピリミジンヌクレオチドが分解されると、β-アラニン、β-アミノイソ酪酸、CO2、NH3が生じる。
4 正
高尿酸血症治療薬であるアロプリノールは、キサンチンオキシダーゼを阻害することによって、尿酸の合成を抑制する。
5 誤
プリンヌクレオチドの生合成は、ホスホリボシルピロリン酸(PRPP)にグルタミン、グリシン、アスパラギン酸、CO2、THF(テトラヒドロフラン)、ATPが反応してプリン骨格(イノシン酸)が合成される。プリン骨格が合成されてからPRPPが付加されるわけではない。
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