薬剤師国家試験 平成25年度 第98回 - 一般 実践問題 - 問 226,227
45歳の男性に対して、ブドウ糖を25%含む高カロリー輸液用基本液(1,400 mL)、アミノ酸を10%含む総合アミノ酸輸液(600 mL)、高カロリー輸液用微量元素製剤(2 mL)、総合ビタミン製剤(5 mL)、ダイズ油を20%含む脂肪乳剤(100 mL)が処方された。
問226(衛生)
この処方における非タンパク質性カロリー(kcal)/窒素量(g)の値(NPC/N)はいくつか。Atwater係数を用いて計算し、最も近い値を1つ選べ。ただし、アミノ酸の窒素の含有量を16%、脂肪乳剤(100 mL)に含まれるダイズ油以外の成分(アミノ酸は含まれていない)のカロリーを20 kcalとする。
1 130
2 150
3 170
4 190
5 210
問227(実務)
この処方の調剤及び使用に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 微量元素製剤は、アミノ酸と配合変化を生じるため混合しない。
2 脂肪乳剤は、他の薬剤とは混合しない。
3 脂肪乳剤投与時は、インラインフィルターを使用しない。
4 総合ビタミン製剤は水溶性ビタミンのみ含有するため、脂溶性ビタミンを別途投与する必要がある。
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問226 解答 3
非タンパク質性カロリー(NPC)とは、糖質と脂質のカロリーである。なお、糖質のAtwater係数は4 kcal/g、脂質のAtwater係数は9 kcal/gである。
糖質のカロリー(ブドウ糖を25%含む高カロリー輸液用基本液)=1400 mL×0.25×4 kcal/g=1400 kcal
脂質のカロリー(ダイズ油を20%含む脂肪乳剤)=100 mL×0.2×9 kcal/g=180 kcal
非タンパク質性カロリー(NPC)=1400 kcal+180 kcal+20 kcal(ダイズ油以外の成分)=1600 kcal
総窒素量(アミノ酸を10%含む総合アミノ酸輸液)=600 mL×0.1×0.16=9.6 g
よって、NPC/N=1600 kcal/9.6 g≒170 kcal/g
問227 解答 2、3
1 誤
微量元素の欠乏によって、生体内の物質代謝や生理機能に影響が現れるため、日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)では、高カロリー輸液施行時に微量元素を付加することを推奨している。
2 正
脂肪乳剤と高カロリー輸液を混合すると、油滴の分離や脂肪粒子の粗大化を起こすことがあり、粗大化した粒子によって肺塞栓症などを起こす可能性があるため、脂肪乳剤は、他の薬剤とは混合しない。
3 正
脂肪乳剤使用時にインラインフィルターを使用すると、インラインフィルターが目詰まりしたり、乳剤の破壊などが生じる可能性があるので、脂肪乳剤投与時はインラインフィルターを使用しない。
4 誤
総合ビタミン製剤は水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B6、B12、C、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン)だけでなく、脂溶性ビタミン(ビタミンA、E、D、K)も含むため、別途脂溶性ビタミンを投与する必要はない。
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