薬剤師国家試験 平成25年度 第98回 - 一般 実践問題 - 問 256,257
63歳男性。腎不全で透析施行中の入院患者に以下の薬剤が追加で処方された。
問256(実務)
この患者の治療に関する記述として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 ロスバスタチンカルシウム錠は、透析患者に対して禁忌である。
2 ナテグリニド錠は、透析患者に対して禁忌である。
3 服薬指導時に、食事中のタンパク質量が制限されていることを確認する。
4 服薬指導時に、患者の手足のむくみを確認する。
問257(薬理)
その後、患者に貧血症状が出たため、エポエチンアルファが処方された。この処方薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 トロンボポエチン受容体を刺激する。
2 赤芽球前駆細胞に直接作用して、赤血球への分化・増殖を促進する。
3 血漿中の鉄と結合して造血組織に移行し、ヘモグロビン合成系への鉄の供給を促進する。
4 赤血球増多により、副作用として血栓塞栓症を起こすことがある。
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問256 解答 2、4
1 誤
ロスバスタチンカルシウム錠は、横紋筋融解症が現れやすくなるため、透析患者に対しては慎重投与であるが、禁忌ではない。
2 正
ナテグリニド錠は、低血糖を起こす危険性が高まるため、透析患者に対しては禁忌である。
3 誤
本症例のような透析患者に対して、食事中のタンパク質量が制限されていることを確認することは適切ではない。腎機能が低下すると食事中のタンパク質の老廃物である尿素の排泄が低下し、尿毒症を引きおこすおそれがあるため、腎機能が低下している患者ではタンパク質量が制限される。しかし、透析施行中では、透析により、アミノ酸が失われやすく、尿毒症の原因となる尿素が除去されるため、タンパク質摂取基準量が健常人よりも高く設定されている。そのため、透析患者に対しては、医師や栄養士の指示に従い適切なタンパク質量を摂取するよう指導するべきである。
4 正
透析患者では、手足のむくみが生じやすいため、服薬指導時に確認するべきである。
問257 解答 2、4
エポエチンアルファは、エリスロポエチン製剤であり、赤芽球系前駆細胞に作用して、赤血球への分化・増殖を促進する。また、副作用として赤血球増多による血栓塞栓症を起こすことがある。なお、トロンボポエチン受容体を刺激する薬物には、ロミプロスチム、エルトロンボパグが挙げられる。
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