薬剤師国家試験 平成25年度 第98回 - 一般 実践問題 - 問 286,287
経口及び経腸的に栄養摂取不能な体重50 kgの男性患者に栄養輸液が処方された。
問286(実務)
高カロリー輸液の調製時に、処方に含まれる1日当たりの成分量を確認したところ、以下の様であった。処方医に確認すべき項目はどれか。1つ選べ。
1 糖質:250 g
2 アミノ酸:75 g
3 脂質:150 g
4 Na+:100 mEq
5 K+:80 mEq
問287(病態・薬物治療)
この患者の栄養状態の評価に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 体重が1週間に0.5 kgの割合で増加している場合には、水分負荷の過剰を疑う。
2 上腕三頭筋の皮下脂肪厚は、体脂肪量の推定に用いられる。
3 筋タンパク量の推定には、上腕筋囲長が用いられる。
4 中心静脈栄養時は1日摂取熱量が一定なので、血糖値のチェックは不要である。
5 栄養状態の短期的変動を評価するには、血清トランスサイレチン値よりも血清アルブミン値の方が適している。
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問286 解答 3
1 誤
高カロリー輸液調整時の糖質の1日投与量の目安は、体重1 kgあたり約5〜10 gである。体重50 kgの場合は、約250〜500 gとなるため、この処方の糖質量は妥当と考えられる。
2 誤
高カロリー輸液調整時のアミノ酸の1日投与量の目安は、体重1 kgあたり約1〜2 gである。体重50 kgの場合は、約50〜100 gとなるため、この処方のアミノ酸量は妥当と考えられる。
3 正
高カロリー輸液調整時の脂質の1日投与量の目安は、体重1 kgあたり1 g前後である。体重50 kgの場合は、50 g前後となるため、この処方の脂質量150 gは過量であると考えられるため、処方医に確認するべきである。
4 誤
高カロリー輸液調整時のNa+の1日投与量の目安は、体重1 kgあたり1〜2 mEqである。体重50 kgの場合は、50〜100 mEqとなるため、この処方のNa+量は妥当と考えられる。
5 誤
高カロリー輸液調整時のK+の1日投与量の目安は、体重1 kgあたり1〜2 mEqである。体重50 kgの場合は、50〜100 mEqとなるため、この処方のK+量は妥当と考えられる。
問287 解答 2、3
1 誤
体重の増減には、主にカロリー摂取量と代謝量のバランスなどが関与する。水分負荷の過剰ではなく、総カロリー量が多いことなどを疑う必要がある。
2 正
上腕三頭筋の皮下脂肪の厚さを皮下脂肪厚計(キャリパー)で測定し計算式に測定値を代入することで、体脂肪量を推定することが可能である。
3 正
上腕筋囲長は、肩と肘の中間点における腕周りの長さであり、筋タンパク量の推定に用いられる。栄養状態が不良だと、タンパク異化が亢進するため、筋タンパク量が低下する。
4 誤
1日摂取熱量が一定であっても、血糖値は健康状態によって変動する恐れがあるため、定期的に血糖値をチェックする必要がある。
5 誤
栄養状態の短期的変動を評価するには、血清トランスサイレチン値が適している。トランスサイレチンとアルブミンは、いずれも栄養状態の評価に用いられるが、アルブミンは半減期が数週間と長く、トランスサイレチンは半減期が2日程度と短いため、短期的変動の評価には、血清トランスサイレチン値が用いられる。
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