薬剤師国家試験 平成25年度 第98回 - 一般 実践問題 - 問 300,301
42歳女性。体重48 kg。喫煙をはじめてから20年になる。1日20本程度喫煙していた。風邪気味であったため近医を受診した際、医師から禁煙を強く勧められ、禁煙補助医薬品を使用することになった。
問300(実務)
禁煙補助医薬品のニコチン含有製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 ガム製剤は、処方せん医薬品である。
2 ガム製剤は、ゆっくり噛んで使用する。
3 貼付剤は、妊婦に使用できる。
4 貼付剤の使用を開始した後、喫煙本数を徐々に減らす。
5 ガム製剤と貼付剤の併用が推奨される。
問301(病態)
喫煙が発症のリスクファクターとされていない疾患はどれか。1つ選べ。
1 食道がん
2 膀胱がん
3 自然気胸
4 潰瘍性大腸炎
5 慢性気管支炎
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問300 解答 2
1 誤
ニコチンガム製剤は、一般用医薬品の指定第二類医薬品である。
2 正
ガム製剤は、口腔粘膜から吸収されるが、速く噛むことにより唾液量が増加し、ニコチンが唾液と一緒に飲み込まれてしまうことにより口腔粘膜からの吸収が低下する。また、ガム製剤の副作用として、口内・のどの刺激感、舌の荒れ、味の異常感、歯肉炎などが現れることがあるが、ゆっくり噛むことでこれらの副作用が起こりにくくなるため、ゆっくり噛むよう指導する。
3 誤
ニコチン製剤は、動物実験で催奇形性が報告されているため、ガム製剤、貼付剤ともに妊婦への使用は禁忌である。
4 誤
ニコチン製剤の使用中は喫煙してはならない。なお、使用を開始した後、喫煙本数を徐々に減らしながら使用する禁煙補助剤としては、バレニクリン酒石酸塩錠がある。
5 誤
ガム製剤と貼付剤の併用により、ニコチンの過量摂取になるおそれがあるため、併用はしてはならない。
問301 解答 4
喫煙は、①食道がん、膀胱がん、肺がん、胃がんなど多くのがん、②慢性気管支炎、肺気腫、自然気胸などの呼吸器系疾患、③狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患などのリスクファクターであるが、潰瘍性大腸炎は、大腸粘膜における免疫機構の破綻などが原因と考えられており、特に喫煙がリスクファクターとはされていない。むしろ潰瘍性大腸炎においては、喫煙により発症リスクが低下するという報告がある。
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