薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 理論問題 - 問 182
58歳男性。既往歴なし。息切れ、胸痛等の自覚症状はなかったが、健康診断の胸部レントゲン検査で、心拡大を指摘されたため、近医を受診した。心臓超音波検査で壁厚の異常は見られなかったが、心内腔が拡大し、全周性に壁運動が低下していた。血圧138/82 mmHg、脈拍数72/分、心電図上異常なし。腎機能、肝機能異常なし。血漿BNP値は78 pg/mLで軽度上昇していた。
本症例に対する第一選択薬として、薬剤師が推奨すべき薬物はどれか。2つ選べ。
1 アミオダロン塩酸塩
2 ドブタミン塩酸塩
3 エナラプリルマレイン酸塩
4 ピモベンダン
5 ビソプロロールフマル酸塩
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解答 3、5
本症例では、壁厚の異常なし、心内腔が拡大し、全周性に壁運動が低下していることから、拡張型心筋症であると推測され、また、血漿BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)値が軽度上昇していることから、軽度の慢性心不全状態にあると推測される。
軽度の慢性心不全に対しては、第一選択薬として、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であるエナラプリルマレイン酸塩や選択的β1受容体遮断薬であるビソプロロールフマル酸塩などが用いられる。
1 誤
アミオダロン塩酸塩は、心室細動、心室性頻拍、心不全(低心機能)又は肥大型心筋症に伴う心房細動に用いられ、本症例に対する第一選択薬として適切ではない。
2 誤
ドブタミン塩酸塩は、急性循環不全における心収縮力増強に用いられ、本症例に対する第一選択薬として適切ではない。
3 正
前記参照
4 誤
ピモベンダンは、ジギタリス製剤、利尿薬等の基礎治療剤を投与しても十分な効果が得られない軽度〜中程度の慢性心不全に用いられ、本症例に対する第一選択薬として適切ではない。
5 正
前記参照
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