薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 実践問題 - 問 214,215
36歳女性。常に下腹部が張っていて、排便回数は3〜4日に一度であり、排便後もすっきりしない。最近は顔に吹き出物ができ、なかなか治らないため来局した。薬剤師と相談し、大黄甘草湯を購入することとなった。
問214(実務)
この際、薬剤師が確認、指導する内容として適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 他の下剤の使用の有無を確認した。
2 妊娠していないかを確認した。
3 薬だけに頼らず、適度な運動を心掛けるよう指導した。
4 症状が良くならなくても、少なくとも2週間は服用するよう指導した。
5 脱力感や筋肉痛が現れ、徐々に強くなるようなら服用をやめ、申し出るよう指導した。
問215(物理・化学・生物)
大黄甘草湯に含有されるセンノシドA及びその誘導体に関連する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 センノシドAは、トリテルペンの一種である。
2 化合物A〜Cは腸内細菌が産生する酵素によって生成される。
3 炭素aの絶対配置はSである。
4 化合物Cは、化合物Bの酸化的開裂によって生じる。
5 大黄甘草湯が示す瀉下作用の活性本体は化合物Cである。
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問214 解答 4
大黄甘草湯には、ダイオウとカンゾウが含まれており、便秘薬として用いられる。
1 適切
大黄甘草湯を他の下剤と併用して用いることは望ましくない。
2 適切
ダイオウは、子宮収縮作用及び骨盤内臓器の充血作用があり、流早産の危険性があるため、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
3 適切
適度な運動を行うことで、大腸の動きが活発になるため、便秘症を改善するために適度な運動を行うことが望ましい。
4 不適切
大黄甘草湯使用中は、経過を十分に観察し、症状及び所見の改善が認められない場合には、継続投与を避ける必要がある。
5 適切
カンゾウは、副作用として、偽アルドステロン症やミオパチーを引き起こすことがあるため、脱力感や筋肉痛が現れ、徐々に症状が強くなる場合は、服用を中止するなど適切な処置を行う必要がある。
問215 解答 2、5
1 誤
センノシドAは、アントロンが2分子からなるビアンスロン配糖体に分類される。
2 正
センノシドAは、ヒト腸内細菌β−グルコシダーゼにより化合物A(セニジン−8−モノグルコシド)、化合物B(セニジンA)が生じ、さらにヒト腸内細菌NADH−フラビン還元酵素により化合物C(レインアンスロン)を生じる。
3 誤
下図より、炭素aの絶対配置はRである。
4 誤
化合物C(レインアンスロン)は、化合物B(セニジンA)の還元によって生じる。
5 正
大黄甘草湯が示す瀉下作用の活性本体は化合物C(レインアンスロン)である。
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