薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 実践問題 - 問 246,247
32歳女性。喫煙歴5年、禁煙を試みたいと薬局を訪れた。現在、不眠症で、ゾピクロン錠を不眠時に服用している。禁煙のためにニコチンガム、ニコチンパッチ、バレニクリン酒石酸塩錠のいずれかを使用するか悩んでいるとのことだった。
問246(実務)
薬剤師が来局者に説明する内容として、適切でないのはどれか。2つ選べ。
1 ニコチンパッチは、高用量から開始し、段階的に減らします。
2 ニコチンパッチは、妊婦にも使用できます。
3 ニコチンガムは、コーヒーや炭酸飲料を飲んだあとは吸収がよくなります。
4 ニコチンガムは、むかつきやのどへの刺激が起こることがあります。
5 バレニクリン酒石酸塩錠は、喫煙に代わってニコチンを補充する薬剤ではありません。
問247(薬理)
この患者に関連する薬物依存・耐性の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ゾピクロンとニコチンは、いずれも精神的依存を起こすが、身体的依存は生じない。
2 ゾピクロンとニコチンは、いずれも耐性を生じない。
3 ニコチンは、中脳辺縁ドパミン神経系を活性化する。
4 バレニクリンは、ニコチン性アセチルコリン受容体の部分刺激薬であり、ニコチン依存症の喫煙者の禁煙による退薬症候を軽減する。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
問246 解答 2、3
1 適切
ニコチンパッチ(貼付)は、経皮吸収ニコチン製剤であり、高用量から開始し、段階的に減量する。医療用ニコチンパッチの使用法を以下に示す。
ニコチネルTTS10(ニコチンとして17.5 mg含有)、ニコチネル TTS20(ニコチンとして35 mg含有)又はニコチネルTTS30(ニコチンとして52.5mg含有)を1日1回1枚、24時間貼付する。
通常、最初の4週間はニコチネルTTS30から貼付し、次の2週間はニコチネルTTS20を貼付し、最後の2週間はニコチネル TTS10を貼付する。なお、最初の4週間に減量の必要が生じた場合は、ニコチネルTTS20を貼付する。
2 不適切
ニコチンは、動物実験において、催奇形性、胎児死亡増加、胎児体重減少が報告されているため、妊婦または妊娠している可能性のある婦人に投与禁忌である。
3 不適切
コーヒーや炭酸飲料を飲んだあと口腔内は酸性に傾くため、弱塩基性薬物であるニコチンの吸収性は低下する。
4 適切
ニコチンガムにより、むかつきやのどへの刺激が起こることがある。そのような症状がみられた場合には、医師・薬剤師に相談する必要がある。
5 適切
バレニクリン酒石酸塩錠は、ニコチンパッチやニコチンガムとは異なり、ニコチンを含んでいないため、喫煙に代わってニコチンを補充する薬剤ではない。
問247 解答 3、4
1 誤
ゾピクロン及びニコチンは、連用することにより薬物依存(精神的依存および身体的依存)を生じることがある。
2 誤
ゾピクロン及びニコチンは、連用することにより耐性を生じる。
3 正
ニコチンは、ニコチン性アセチルコリン受容体を刺激し、ドパミンの遊離を促進することで脳内報酬系といわれる中脳辺縁ドパミン神経系を活性化する。なお、ニコチンがこの作用を有するため、喫煙への依存性が形成されると考えられている。
4 正
バレニクリンは、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体の部分刺激薬である。バレニクリンをニコチンと併用した場合には、ニコチンの作用を遮断し、ニコチンによる満足感を抑制する。一方、バレニクリンを単独で投与した場合には、弱いニコチン作用を示し、ニコチンを投与したときに比べ、少量のドパミンが放出されるため、禁煙に伴う離脱症状やタバコに対する切望感を軽減する。
-
解説動画1 ( 09:56 )
解説動画2 ( 07:58 )
-
※ この解説動画は 60 秒まで再生可能です
再生速度
|
|
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿