薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 実践問題 - 問 278,279
入院中の5歳女児。体重21 kg。39.0℃の発熱が認められたので、アセトアミノフェン坐剤200 mgが投薬されることになった。
問278(実務)
アセトアミノフェン坐剤の投薬に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 小児に対して一日当たりの最大用量が決められている。
2 この患児に重篤な肝障害がある場合には禁忌である。
3 この患児に重篤な心機能不全がある場合には禁忌である。
4 過度の体温下降が現れることがある。
5 この患児がインフルエンザに罹患している場合には禁忌である。
問279(薬剤)
本坐剤の基剤には、半合成油脂性基剤であるハードファット(ウィテプゾール)が用いられている。ハードファットに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 直腸内の水分により速やかに溶解し、主薬を放出する。
2 冷所保存してはならない。
3 飽和脂肪酸のモノ、ジ、トリグリセリドの混合物である。
4 坐剤の成形にプラスチック製容器は使用できない。
5 結晶多形が存在する。
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問278 解答 5
1 正しい
アセトアミノフェン坐剤には、一日当たりの最大用量が設定されており、その量は、1500 mgである。
2 正しい
アセトアミノフェン坐剤は、重篤な血液の異常のある患者、重篤な肝障害のある患者、重篤な心不全のある患者などに投与禁忌とされている。
3 正しい
解説2参照
4 正しい
アセトアミノフェン坐剤は、過度の体温下降、虚脱、四肢冷却が現れることがある。
5 誤っている
アセトアミノフェン坐剤はインフルエンザに罹患している場合でも禁忌ではない。なお、ジクロフェナクナトリウム坐剤などのNSAIDsの場合は、ライ症候群とよばれる脳症を誘発するおそれがあるのでインフルエンザに罹患している場合は禁忌となっている。
問279 解答 3
1 誤
ハードファット(ウィテプゾール)は、坐剤に用いられる基剤のうち、油脂性基剤である。油脂性基剤は、体温により溶融し主薬を放出する。なお、坐剤の基剤のうち、直腸内の水分で溶解するのは、水溶性基剤の特徴である。
2 誤
油脂性基剤は体温により溶融し、主薬を放出する。室温で保存することで溶解するおそれがあるため冷所に保存する必要がある。
3 正
ハードファット(ウィテプゾール)は直鎖飽和脂肪酸のモノ、ジ、トリグリセリドの混合物である。
4 誤
坐剤を充てん・成形する際には、プラスチック製の容器や金属製の容器を用いることが多い。
5 誤
基剤に結晶構造の異なる結晶多形が存在すると、転移を起こす事がある。例えば、転移によって融点の変化が起きた場合、より低温で基剤が溶解する可能性が出てくるため、薬剤の品質管理が困難になる。そのため、結晶多形の存在しないハードファット(ウィテプゾール)が油脂性基剤として用いられる事が多くなっている。
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