薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 理論問題 - 問 115
以下は、コレステロール量の調節に関する説明文である。これに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
ヒト体内のコレステロールは、食事によって補給されるとともに、体内でも生合成される。また、細胞内のコレステロール量は一定量に保とうとする仕組みによって厳密に調節されている。なお、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA還元酵素(HMG-CoA reductase)はコレステロール生合成反応の律速酵素である。
1 コレステロールやその生合成中間体であるメバロン酸は、HMG-CoA reductaseの活性を抑制する。
2 コレステロールは、HMG-CoA reductaseの分解を抑制する。
3 細胞内のコレステロール量が減少すると、HMG-CoA reductaseの転写を正に調節する転写因子が活性化される。
4 細胞内のコレステロール量が減少すると、コレステロールの細胞内取込みに関わる低密度リポタンパク質(low-density lipoprotein:LDL)受容体のmRNA量が減少する。
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解答 1、3
コレステロールは、ヒトの細胞膜の構成成分であり、代謝により胆汁酸やステロイドホルモンに変換される重要な成分である。コレステロールは、一定量に保とうとする仕組みによって厳密に調節されており、この調節にはLDL受容体によるLDLの取り込みやアセチルCoAからの生合成が関与する。
細胞内のコレステロール量が減少すると、その細胞においてLDL受容体、HMG-CoA還元酵素等の遺伝子が発現し、これらのタンパク質の合成が亢進する。
これにより、LDL受容体数が増加し、細胞外からのLDLの取り込み量が増加する。また、HMG-CoA還元酵素などのコレステロールの合成を担う酵素も増加するため、コレステロールの合成が促進される。
逆に、細胞内のコレステロール量が増加すると、LDL受容体、HMG-CoA還元酵素等の遺伝子発現が抑制される。
1 正
HMG-CoA還元酵素は、コレステロール生合成における律速酵素であり、細胞内のコレステロールやその生合成中間体であるメバロン酸によってフィードバック阻害を受けるため、その活性が低下する。
2 誤
細胞内のコレステロール量が増加すると、HMG-CoA還元酵素の遺伝子発現が抑制されるだけでなく、HMG-CoA還元酵素のユビキチン化が誘導されるため、HMG-CoA還元酵素の分解が促進される。
3 正
細胞内のコレステロール量が減少するとHMG-CoA 還元酵素の転写を正に調節する転写因子(SREBP:ステロール調節エレメント結合タンパク質)が活性化され、HMG-CoA 還元酵素の遺伝子発現が促進され、コレステロール合成が促進される。
4 誤
細胞内のコレステロール量が減少すると、LDL受容体の遺伝子発現を促進するため、LDL受容体のmRNA量は増加する。
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