薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 理論問題 - 問 134
「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 蓄積性がないものも対象物質に含まれている。
2 対象物質は、すべて長距離移動性を有する。
3 非意図的生成物である対象物質に対し、その排出を削減することが定められている。
4 ヒトに対する長期毒性が不明なものも対象物質に含まれている。
5 対象物質は、すべて化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)の規制対象物質である。
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解答 2、3
化学物質の中には、①環境中で分解されにくく、②生体内に蓄積しやすく、③地球上で長距離を移動して遠い国の環境にも影響を及ぼす恐れがあり、④一旦環境中に排出されると体に有害な影響を及ぼしかねないものがある。このような①から④の性質を持つ化学物質は、残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)と呼ばれる。残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)は、国際的に協調して、POPsの製造・使用・輸出入の禁止や排出の削減などを行うことを目的としている。
1 誤
POPsの特徴として、生体内に蓄積しやすいことがあげられる。よって、蓄積性がないものは対象物質に含まれない。
2 正
POPsの特徴として、地球上で長距離を移動して遠い国の環境にも影響を及ぼす恐れがあることがあげられる。よって、対象物質は、すべて長距離移動性を有する。
3 正
POPs条約の対象となる物質には、ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDD)やポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)などの非意図的生成物も含まれている。POPs条約では、これら非意図的生成物に対し、できるだけ廃絶することを目標として削減することを定めている。
4 誤
POPsの特徴として、一旦環境中に排泄されると体に有害な影響を及ぼしかねないことがあげられる。よって、ヒトに対する長期毒性が不明なものは対象物質に含まれない。
5 誤
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)とは、ヒトの健康及び生態系に影響を及ぼすおそれがある化学物質による環境汚染を防止することを目的とする法律である。POPs条約で規制されている物質の多くは、化審法においても規制対象物質となっているが、すべての化学物質が化審法の規制対象物質であるわけではない。
以下、POPs条約の対象物質を示す。
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