薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 理論問題 - 問 138
大気汚染物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 硫黄酸化物の主な発生源は、自動車のガソリンエンジンである。
2 光化学オキシダントは、炭化水素と硫黄酸化物が太陽光の作用により光化学反応して生成する。
3 浮遊粒子状物質には、発生源から直接排出された一次生成粒子と、大気中でガス成分が反応して生じた二次生成粒子がある。
4 炭化水素類を成分とする溶剤を使用する工場、事業所は、非メタン炭化水素の主な発生源の1つである。
5 窒素酸化物は、排煙を塩基性の水溶液に接触させることにより、効果的に除去することができる。
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解答 3、4
1 誤
我が国で使用されているガソリンには、硫黄はほとんど含まれていないため、自動車のガソリンエンジンは硫黄酸化物の主な発生源とはならない。硫黄酸化物の主な発生源は、石炭や重油を燃料として使用する工場などの固定発生源である。
2 誤
光化学オキシダントは、炭化水素を含む揮発性有機化合物と窒素酸化物が太陽光(紫外線)の作用により光化学反応して生成する大気汚染物質である。光化学オキシダントの濃度が高くなると、目やのどに刺激を与え、目がチカチカする、のどが痛いなどの健康障害がみられる。
3 正
浮遊粒子状物質とは、粒径が10 µm以下の大気中に浮遊する粒子状物質のことである。発生源から直接大気中に排出されるものを一次生成粒子といい、硫黄酸化物や窒素酸化物、炭化水素などの排出時はガス状物質であったものが、大気中で反応することによって粒子化するものを二次生成粒子という。浮遊粒子状物質の6〜7割を二次生成粒子が占める。
4 正
非メタン炭化水素は、メタン以外の炭化水素の総称であり、光化学オキシダント生成の原因物質である。非メタン炭化水素は、自動車から排泄されるほか、塗装工場、印刷工場など炭化水素類を成分とする溶剤を使用する工場・事業所などからも排出される。
5 誤
窒素酸化物は水に難溶であり、反応性が乏しいため、水洗法やアルカリ洗浄法では効果的に除去することができない。窒素酸化物の除去は、排ガスにアンモニアを吹き込み、触媒(二酸化チタンなど)によりアンモニアと窒素酸化物を選択的に反応させ、水と窒素に分解する選択接触触媒還元法によって行われる。なお、排煙を塩基性の水溶液に接触させることにより、効率的に除去することができる大気汚染物質は、硫黄酸化物である。
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